術前化学療法を施行した食道癌術後に遅発性に脊髄硬膜外膿瘍を来した1例
症例は67歳の男性で,検診で食道癌と診断された.T2N2M0,Stage IIIの診断で術前化学療法の後,胸腔鏡下食道亜全摘術,3領域郭清,後縦隔経路胃管再建を施行した.術後肺炎を併発したが改善し術後19日目に退院となった.外来通院中,術後49日目に突然下半身の脱力が出現した.救急搬送され,来院時には両下肢麻痺と知覚障害を認めた.MRIでTh1~2にかけての化膿性脊椎炎と,同部位の腹側から脊髄を圧迫するhigh intensityを認め,硬膜外膿瘍の診断で緊急椎弓形成,減圧ドレナージを施行した.早期からリハビリテーションを開始し後遺症なく経過している.集学的治療が施行された進行食道癌は,患者へ...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 49; no. 7; pp. 602 - 607 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2016
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2015.0024 |
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Summary: | 症例は67歳の男性で,検診で食道癌と診断された.T2N2M0,Stage IIIの診断で術前化学療法の後,胸腔鏡下食道亜全摘術,3領域郭清,後縦隔経路胃管再建を施行した.術後肺炎を併発したが改善し術後19日目に退院となった.外来通院中,術後49日目に突然下半身の脱力が出現した.救急搬送され,来院時には両下肢麻痺と知覚障害を認めた.MRIでTh1~2にかけての化膿性脊椎炎と,同部位の腹側から脊髄を圧迫するhigh intensityを認め,硬膜外膿瘍の診断で緊急椎弓形成,減圧ドレナージを施行した.早期からリハビリテーションを開始し後遺症なく経過している.集学的治療が施行された進行食道癌は,患者への侵襲は過大で合併症の発症率も高い.今回,我々は臨床症状に乏しい縫合不全から49日を経て脊髄硬膜外膿瘍を発症し,後遺症なく改善した非常にまれな1例を経験したので報告する. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2015.0024 |