胃全摘術後縫合不全に対して内視鏡下クリッピングを施行した1例

胃全摘術後の食道空腸吻合部縫合不全の治療として,内視鏡下にクリッピングを試み良好な結果を得たので報告する.症例は63歳の男性で,食道裂孔ヘルニアの合併を認めた.検診発見の体上部小彎の早期胃癌に対して2010年10月に腹腔鏡下胃全摘術を施行した.吻合は25 mm circular stapler(OrVilTM)を用いた.術後に38.5°Cの発熱があり,4日目のルーチンの消化管造影で食道空腸吻合部から縦隔への造影剤の漏出を認めた.直ちに内視鏡を施行し,約1 cmの縫合不全部が確認され,Lサイズのクリップ3本で閉鎖した.縦隔内の膿瘍はCTガイド下にドレナージを行った.クリッピング後20日目より食事...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 46; no. 8; pp. 573 - 578
Main Authors 谷岡, 利朗, 高橋, 昌宏, 川村, 秀樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2013
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2012.0232

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Summary:胃全摘術後の食道空腸吻合部縫合不全の治療として,内視鏡下にクリッピングを試み良好な結果を得たので報告する.症例は63歳の男性で,食道裂孔ヘルニアの合併を認めた.検診発見の体上部小彎の早期胃癌に対して2010年10月に腹腔鏡下胃全摘術を施行した.吻合は25 mm circular stapler(OrVilTM)を用いた.術後に38.5°Cの発熱があり,4日目のルーチンの消化管造影で食道空腸吻合部から縦隔への造影剤の漏出を認めた.直ちに内視鏡を施行し,約1 cmの縫合不全部が確認され,Lサイズのクリップ3本で閉鎖した.縦隔内の膿瘍はCTガイド下にドレナージを行った.クリッピング後20日目より食事を開始し,術後33日目に退院した.胃空腸吻合部の縫合不全に対する内視鏡下クリッピングによる治療報告は少ないが,有効な治療法となりえると考える.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2012.0232