緊急開腹手術症例の臨床的検討

1975年から1979年までの4年間に緊急開腹手術を必要とした80例について, retrospectiveに検討した.80例中78.8%の症例が, 問診, 理学的所見, 腹部単純X線検査および白血球数によって, 開腹適応と判断された.入院死亡は12例 (15.0%) で, 高齢者や, 原疾患が悪性腫瘍の症例であり, イレウス併発群に多くみられた.しかし, 高齢者でも, 生活度指数I度の症例の入院死亡は, ほとんどみられなかった.また, 下部消化管悪性腫瘍緊急手術例に対して, 治癒切除が行えなかった場合の入院死亡率は66.7%で, 治癒切除を行った場合の14.3%に比し, 高率であった.生活度指...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 14; no. 3; pp. 489 - 494
Main Authors 柴田, 信博, 芝, 英一, 野口, 貞夫, 大島, 進, 水嶋, 肇, 相川, 隆夫, 松浦, 成昭, 木内, 淳子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1981
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Summary:1975年から1979年までの4年間に緊急開腹手術を必要とした80例について, retrospectiveに検討した.80例中78.8%の症例が, 問診, 理学的所見, 腹部単純X線検査および白血球数によって, 開腹適応と判断された.入院死亡は12例 (15.0%) で, 高齢者や, 原疾患が悪性腫瘍の症例であり, イレウス併発群に多くみられた.しかし, 高齢者でも, 生活度指数I度の症例の入院死亡は, ほとんどみられなかった.また, 下部消化管悪性腫瘍緊急手術例に対して, 治癒切除が行えなかった場合の入院死亡率は66.7%で, 治癒切除を行った場合の14.3%に比し, 高率であった.生活度指数I度の症例であれば, 高齢者や緊急手術の場合であっても, 原疾患に対する積極的な外科的治療が望ましい.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.14.489