胃多発性過形成性ポリープに発生した多発胃癌の1例

症例は76歳の男性で, 脳梗塞後遺症で通院中に吐血で入院となった. 内視鏡検査にて, 胃体中部前壁に粘液が付着した結節状の腫瘍を認め, 後壁に粗大顆粒状の腫瘍を認め, さらに食道胃接合部直下に細顆粒状のポリープを認めた. また, 胃体上部から中部に過形成ポリープが多発していた. 生検により, 胃体中部の腫瘍は二つともGroup V, 腺癌で, ポリープはGroup III, 腺腫の診断であった. 手術は, 胃全摘術, D1+βリンパ節郭清, Roux-en Y型空腸嚢再建術を施行した. 術後病理診断では, 胃体中部の腫瘍は二つとも中分化型腺癌, sm2で, ポリープは高分化型腺癌, mであった...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 40; no. 4; pp. 388 - 392
Main Authors 久保井, 洋一, 加納, 久雄, 大井田, 尚継, 桂, 義久, 三松, 謙司, 小倉, 道一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2007
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.40.388

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Summary:症例は76歳の男性で, 脳梗塞後遺症で通院中に吐血で入院となった. 内視鏡検査にて, 胃体中部前壁に粘液が付着した結節状の腫瘍を認め, 後壁に粗大顆粒状の腫瘍を認め, さらに食道胃接合部直下に細顆粒状のポリープを認めた. また, 胃体上部から中部に過形成ポリープが多発していた. 生検により, 胃体中部の腫瘍は二つともGroup V, 腺癌で, ポリープはGroup III, 腺腫の診断であった. 手術は, 胃全摘術, D1+βリンパ節郭清, Roux-en Y型空腸嚢再建術を施行した. 術後病理診断では, 胃体中部の腫瘍は二つとも中分化型腺癌, sm2で, ポリープは高分化型腺癌, mであった. いずれも過形成を来した腺窩上皮より発生していた. 癌化を来したポリープを有する多発過形成性ポリープは, 癌化のpotentialを有する可能性が考えられ, ポリープ全切除することが望まれると考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.40.388