極小未熟児の死因についての臨床病理学的考察

極小未熟児の死因について検討するため, 過去13年間の極小未熟児剖検例144例について, 主病診断の変遷を調べた.次に, NICU導入後の104例について在胎週数別, 出生体重別, SFDとAFD別, 生存期間別, および主病診断と副所見の相関について検討した.1: NICU導入後新生児剖検例に占める極小未熟児の割合が増加した.2: 剖検主病診断ではNICU導入後, 肺拡張不全, 肺出血は減少し, かわってHMD, SEH/IVH, 感染症が増加する傾向にあった.3: NICU導入後の副病変を含めた病理組織学的所見では, 呼吸器疾患は依然多く, それらに対する呼吸管理の困難性を示した.また,...

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Published in昭和医学会雑誌 Vol. 46; no. 4; pp. 507 - 516
Main Author 長田, 道夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 1986
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ISSN0037-4342
2185-0976
DOI10.14930/jsma1939.46.507

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Summary:極小未熟児の死因について検討するため, 過去13年間の極小未熟児剖検例144例について, 主病診断の変遷を調べた.次に, NICU導入後の104例について在胎週数別, 出生体重別, SFDとAFD別, 生存期間別, および主病診断と副所見の相関について検討した.1: NICU導入後新生児剖検例に占める極小未熟児の割合が増加した.2: 剖検主病診断ではNICU導入後, 肺拡張不全, 肺出血は減少し, かわってHMD, SEH/IVH, 感染症が増加する傾向にあった.3: NICU導入後の副病変を含めた病理組織学的所見では, 呼吸器疾患は依然多く, それらに対する呼吸管理の困難性を示した.また, SEH/IVHは増加傾向にあり, 致命的である重要な疾患であった.感染症は近年の医療レベルの進歩に伴い急激に増加している疾患であり, 90%はlate onset typeであった.これらは, 中枢神経病変を合併する頻度が低く, 感染症の発症さえなければintact survivalとなる可能性が考えられた.4: 感染症はSFDに多く見られたが, HMD, SEHIIVHなどはこの傾向になかった.奇形は出生体重1250-1499gのSFDにとっては重要な死因であった.5: 主病診断と副病変の関係では, 原発性の低酸素性病変ではSEH/IVHを高頻度に合併しSEH/IVHを主病診断とするものには肺硝子膜形成や, 他の出血性疾患をよく合併していた.感染症は肺炎, BPD, 副腎出血の合併が多かった.
ISSN:0037-4342
2185-0976
DOI:10.14930/jsma1939.46.507