食道癌化学放射線療法後の大動脈食道瘻に対して食道切除および下行大動脈置換術を施行し救命した1例

症例は72歳の男性で,cStage IIの胸部食道癌と診断された.食道温存希望が強く化学放射線療法(chemoradiotherapy;以下,CRTと略記)を施行した.CRT終了の69日後に,吐血,出血性ショックで救急搬送され,大動脈食道瘻と診断,胸部大動脈ステントグラフト内挿術(thoracic endovascular aortic repair;以下,TEVARと略記)を施行し救命した.その後,縦隔炎のコントロールが保存的に困難となり,TEVARから30日後に右開胸食道亜全摘,頸部食道瘻造設,食道亜全摘の22日後に,左開胸大動脈ステントグラフト抜去,下行大動脈置換を施行した.縦隔炎は治癒...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 58; no. 3; pp. 129 - 137
Main Authors 内山, 英俊, 梅林, 佑弥, 八木, 宏平, 三浦, 富之, 海藤, 章郎, 加藤, 俊一郎, 春木, 茂男, 冨井, 知春, 中島, 啓, 村松, 俊輔, 伊東, 浩次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.03.2025
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2024.0037

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Summary:症例は72歳の男性で,cStage IIの胸部食道癌と診断された.食道温存希望が強く化学放射線療法(chemoradiotherapy;以下,CRTと略記)を施行した.CRT終了の69日後に,吐血,出血性ショックで救急搬送され,大動脈食道瘻と診断,胸部大動脈ステントグラフト内挿術(thoracic endovascular aortic repair;以下,TEVARと略記)を施行し救命した.その後,縦隔炎のコントロールが保存的に困難となり,TEVARから30日後に右開胸食道亜全摘,頸部食道瘻造設,食道亜全摘の22日後に,左開胸大動脈ステントグラフト抜去,下行大動脈置換を施行した.縦隔炎は治癒し,大動脈置換の35日後に自宅退院した.退院後3か月経過し,食道の再建手術を検討していた矢先に全身に多発転移が出現した.退院から7か月経過した現在,外来通院にて化学療法を施行している.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2024.0037