腹部造影CTにて偶発的に発見された腸間膜成熟囊胞性奇形腫の1例
症例は70歳の男性で,右季肋部痛のため近医を受診し,腹部エコー検査で胆囊炎の診断であった.症状軽快傾向であったため,後日治療目的に当院に紹介された.腹部造影CTを施行したところ,小腸間膜根部に約4 cm大の腫瘤影を認め,上腸間膜動脈,下腸間膜静脈に近接していた.腫瘤は脂肪濃度主体であり,一部軟部組織濃度であったため,奇形腫や脂肪肉腫が疑われた.胆囊摘出と同時に腸間膜腫瘍を摘出する方針とした.腸間膜腫瘍は悪性の可能性もあったため,周囲組織とともに摘出した.摘出後,腫瘍を切開すると内部に毛髪を認め,術後病理学的検査にて,成熟囊胞性奇形腫の診断であった.経過は良好であり,術後8日目に退院した.腸間膜...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 54; no. 5; pp. 344 - 350 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.05.2021
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2020.0012 |
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Summary: | 症例は70歳の男性で,右季肋部痛のため近医を受診し,腹部エコー検査で胆囊炎の診断であった.症状軽快傾向であったため,後日治療目的に当院に紹介された.腹部造影CTを施行したところ,小腸間膜根部に約4 cm大の腫瘤影を認め,上腸間膜動脈,下腸間膜静脈に近接していた.腫瘤は脂肪濃度主体であり,一部軟部組織濃度であったため,奇形腫や脂肪肉腫が疑われた.胆囊摘出と同時に腸間膜腫瘍を摘出する方針とした.腸間膜腫瘍は悪性の可能性もあったため,周囲組織とともに摘出した.摘出後,腫瘍を切開すると内部に毛髪を認め,術後病理学的検査にて,成熟囊胞性奇形腫の診断であった.経過は良好であり,術後8日目に退院した.腸間膜由来の成熟囊胞性奇形腫は比較的まれな症例のため,報告する. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2020.0012 |