吐血で発症した一次性大動脈十二指腸瘻の1例
大動脈腸管瘻(aortoenteric fistula;以下,AEFと略記)で一次性AEF(primary AEF;以下,PAEFと略記)は致命的な病態であるが,救命しえた1例を経験したので報告する.症例は81歳の女性で,吐血後,近医に搬送されHb 3.0 g/dlと出血性ショックの状態だった.精査にて腎動脈下流の腹部大動脈瘤の十二指腸水平脚への穿通による,一次性大動脈十二指腸瘻と診断され,当院心臓血管外科に搬送後にステントグラフト内挿術を施行した.翌日,当科にて緊急手術を行った.手術は,十二指腸を授動し瘻孔を確認後に,瘻孔口側で十二指腸を離断し,十二指腸下行脚と挙上空腸を側々吻合した.また,...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 53; no. 8; pp. 643 - 649 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.08.2020
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Summary: | 大動脈腸管瘻(aortoenteric fistula;以下,AEFと略記)で一次性AEF(primary AEF;以下,PAEFと略記)は致命的な病態であるが,救命しえた1例を経験したので報告する.症例は81歳の女性で,吐血後,近医に搬送されHb 3.0 g/dlと出血性ショックの状態だった.精査にて腎動脈下流の腹部大動脈瘤の十二指腸水平脚への穿通による,一次性大動脈十二指腸瘻と診断され,当院心臓血管外科に搬送後にステントグラフト内挿術を施行した.翌日,当科にて緊急手術を行った.手術は,十二指腸を授動し瘻孔を確認後に,瘻孔口側で十二指腸を離断し,十二指腸下行脚と挙上空腸を側々吻合した.また,瘤破裂部より可及的に血栓を除去し,同部を縫合閉鎖した.術後は手術関連合併症を認めず,ステント感染予防の抗菌剤投与を継続し,リハビリ目的に前医転院となった.PAEFは,致死率の高い疾患であるが,ステントグラフト内挿術を先行することで,安全に手術可能と考えた. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2019.0012 |