20年以上の長期生存中に2度肝転移を来した膵原発ソマトスタチン産生腫瘍の1例

症例は75歳の女性で,53歳時に膵頭部腫瘍に対し膵頭十二指腸切除術施行,病理組織学的検査でソマトスタチン産生腫瘍と診断された.手術2年後,ソマトスタチン:97 pg/mlと高値になり,血管造影検査で肝S6に腫瘍濃染像を認め,肝転移を疑い肝部分切除術施行,ソマトスタチン産生腫瘍による肝転移と診断された.外来で経過観察したが,初回手術より22年間再発を認めなかった.今回,上腹部痛の精査の際の造影CTで,肝外側区域下面に早期濃染する腫瘤を認め肝部分切除術施行,病理組織学的検査で再度ソマトスタチン産生腫瘍による肝転移と診断された.ソマトスタチン産生腫瘍は膵臓および十二指腸に好発するまれな内分泌腫瘍であ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 46; no. 5; pp. 362 - 368
Main Authors 善甫, 宣哉, 野島, 真治, 岡崎, 充善, 松尾, 光敏, 須藤, 隆一郎, 中安, 清, 日高, 匡章, 金田, 好和, 宮崎, 健介, 亀井, 敏昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2013
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2012.0216

Cover

More Information
Summary:症例は75歳の女性で,53歳時に膵頭部腫瘍に対し膵頭十二指腸切除術施行,病理組織学的検査でソマトスタチン産生腫瘍と診断された.手術2年後,ソマトスタチン:97 pg/mlと高値になり,血管造影検査で肝S6に腫瘍濃染像を認め,肝転移を疑い肝部分切除術施行,ソマトスタチン産生腫瘍による肝転移と診断された.外来で経過観察したが,初回手術より22年間再発を認めなかった.今回,上腹部痛の精査の際の造影CTで,肝外側区域下面に早期濃染する腫瘤を認め肝部分切除術施行,病理組織学的検査で再度ソマトスタチン産生腫瘍による肝転移と診断された.ソマトスタチン産生腫瘍は膵臓および十二指腸に好発するまれな内分泌腫瘍であり,肝転移を来すこともまれである.今回,術後2年後に肝転移に対し手術を施行し長期無再発生存中であったが,22年後に再度肝転移を来した膵原発ソマトスタチン産生腫瘍の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2012.0216