上腸間膜動脈塞栓症により生じた短腸症候群に対してテデュグルチドが奏効した2症例

上腸間膜動脈(superior mesenteric artery;以下,SMAと略記)塞栓症を発症し,腸管が壊死した際は切除が必須であるが,虚血腸管の切除範囲の判断は困難なことも多く,救命できても短腸症候群(short bowel syndrome;以下,SBSと略記)となり,QOLが著しく低下する症例は確実に存在する.SMA塞栓症に対して,高次医療機関で手術後に生じたSBSに対し,ケアミックス病院である当院転院後に,栄養素の吸収促進,腸管粘膜の維持および修復に寄与するとされるテデュグルチドの投与により,腸管吸収能の低下が改善し,QOLが大幅に改善した2例を経験した.特に1例は投与前の1年間...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 58; no. 2; pp. 105 - 112
Main Authors 角田, 祥之, 佐伯, 浩司, 戸塚, 統
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.02.2025
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2024.0004

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Summary:上腸間膜動脈(superior mesenteric artery;以下,SMAと略記)塞栓症を発症し,腸管が壊死した際は切除が必須であるが,虚血腸管の切除範囲の判断は困難なことも多く,救命できても短腸症候群(short bowel syndrome;以下,SBSと略記)となり,QOLが著しく低下する症例は確実に存在する.SMA塞栓症に対して,高次医療機関で手術後に生じたSBSに対し,ケアミックス病院である当院転院後に,栄養素の吸収促進,腸管粘膜の維持および修復に寄与するとされるテデュグルチドの投与により,腸管吸収能の低下が改善し,QOLが大幅に改善した2例を経験した.特に1例は投与前の1年間,SBSによる合併症対応に苦慮し,厳しい予後が予測されていたが,テデュグルチド投与により腸管吸収能が劇的に改善し,自宅退院となった.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2024.0004