大網捻転で発見された異所性卵巣腫瘍の1例
症例は55歳の女性で,主訴は腹痛で来院した.造影CTで16 cm大の境界明瞭な内部不均一な造影効果を伴う腫瘤を認め,栄養血管は左胃大網動脈であることから,大網原発腫瘍と診断した.腫瘍頭側にwhirl signを認め,大網捻転が腹痛の原因と推測された.血液検査では炎症反応とCA125の上昇を認めたが,明らかな虚血はないと判断し,予定手術とした.術中所見では,長径20 cmの尾側は凹凸不整な腫瘤を認め,周囲組織と癒着を認めた.腫瘍頭側で大網が720°捻転していた.捻転を解除し,栄養血管を処理し腫瘤を摘出した.両側卵巣は肉眼的に異常は認めなかった.病理学的組織診の結果,線維芽細胞が増殖しており,10...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 54; no. 6; pp. 430 - 436 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.06.2021
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2020.0085 |
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Summary: | 症例は55歳の女性で,主訴は腹痛で来院した.造影CTで16 cm大の境界明瞭な内部不均一な造影効果を伴う腫瘤を認め,栄養血管は左胃大網動脈であることから,大網原発腫瘍と診断した.腫瘍頭側にwhirl signを認め,大網捻転が腹痛の原因と推測された.血液検査では炎症反応とCA125の上昇を認めたが,明らかな虚血はないと判断し,予定手術とした.術中所見では,長径20 cmの尾側は凹凸不整な腫瘤を認め,周囲組織と癒着を認めた.腫瘍頭側で大網が720°捻転していた.捻転を解除し,栄養血管を処理し腫瘤を摘出した.両側卵巣は肉眼的に異常は認めなかった.病理学的組織診の結果,線維芽細胞が増殖しており,10%未満の顆粒膜細胞腫の成分を含んでいた.以上より,大網に発生したfibroma with minor sex cord elementsと診断した.異所性卵巣腫瘍はまれな疾患であるため報告する. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2020.0085 |