憩室炎を来した成人回腸重複腸管症の1例

症例は46歳の女性で,右下腹部に限局する圧痛を認め,結腸憩室炎を疑われて当院紹介受診となった.CTで骨盤腔内に憩室炎を疑う腸管壁肥厚と周囲脂肪織の濃度上昇を認めた.病変部の腸管は周囲腸管との連続性が確認できず,上腸間膜動脈分枝からの供血を受けていたことから回腸重複腸管を疑った.入院3日目に単孔式腹腔鏡補助下回腸部分切除術を行った.回腸末端部から45 cmの腸間膜側に,大きさ12×5 cmで憩室と憩室周囲により強い壁肥厚を伴う重複腸管を認めた.病理組織学的検査所見では,重複腸管は異型のない小腸粘膜および筋層を有しており,憩室周囲を首座とする炎症性細胞浸潤を認め,重複腸管に生じた憩室炎と診断した....

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 48; no. 9; pp. 776 - 781
Main Authors 古波倉, 史子, 本成, 永, 原, 鐵洋, 伊佐, 勉, 伊志嶺, 朝成, 谷口, 春樹, 新垣, 淳也, 長嶺, 義哲, 亀山, 眞一郎, 堀, 義城
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2015
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2014.0235

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Summary:症例は46歳の女性で,右下腹部に限局する圧痛を認め,結腸憩室炎を疑われて当院紹介受診となった.CTで骨盤腔内に憩室炎を疑う腸管壁肥厚と周囲脂肪織の濃度上昇を認めた.病変部の腸管は周囲腸管との連続性が確認できず,上腸間膜動脈分枝からの供血を受けていたことから回腸重複腸管を疑った.入院3日目に単孔式腹腔鏡補助下回腸部分切除術を行った.回腸末端部から45 cmの腸間膜側に,大きさ12×5 cmで憩室と憩室周囲により強い壁肥厚を伴う重複腸管を認めた.病理組織学的検査所見では,重複腸管は異型のない小腸粘膜および筋層を有しており,憩室周囲を首座とする炎症性細胞浸潤を認め,重複腸管に生じた憩室炎と診断した.これまでに重複腸管に生じた憩室炎の報告はなく,極めてまれな症例と考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2014.0235