開窓術を施行した閉塞性黄疸を伴う膵漿液性囊胞腫瘍の1例

症例は55歳の女性で,尿の濃染を自覚し,精査にて膵頭部の囊胞性病変と随伴する閉塞性黄疸を認めた.患者は近医にて15年以上にわたりステロイド含有抗ヒスタミン剤の投薬を受けており,医原性Cushing症候群を来していた.CTでは膵頭部に10 cm大の多房性囊胞性病変を認め,門脈,上腸間膜静脈の圧排狭小化により肝十二指腸間膜には側副血行路が著明であった.MRIの所見も合わせ,macrocystic typeの漿液性囊胞腫瘍と診断した.病変の切除には膵頭十二指腸切除術を要すると考えられたが,手術リスクが高いと判断し囊胞開窓術およびエタノールアブレーションを施行した.術後は良好に経過し12か月後の現在も...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 47; no. 1; pp. 42 - 48
Main Authors 藤村, 隆, 田島, 秀浩, 高村, 博之, 宮下, 知治, 林, 泰寛, 寺川, 裕史, 牧野, 勇, 北川, 裕久, 中川原, 寿俊, 太田, 哲生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.01.2014
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2013.0154

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Summary:症例は55歳の女性で,尿の濃染を自覚し,精査にて膵頭部の囊胞性病変と随伴する閉塞性黄疸を認めた.患者は近医にて15年以上にわたりステロイド含有抗ヒスタミン剤の投薬を受けており,医原性Cushing症候群を来していた.CTでは膵頭部に10 cm大の多房性囊胞性病変を認め,門脈,上腸間膜静脈の圧排狭小化により肝十二指腸間膜には側副血行路が著明であった.MRIの所見も合わせ,macrocystic typeの漿液性囊胞腫瘍と診断した.病変の切除には膵頭十二指腸切除術を要すると考えられたが,手術リスクが高いと判断し囊胞開窓術およびエタノールアブレーションを施行した.術後は良好に経過し12か月後の現在も再発所見は認めていない.本症例の治療経験から,腫瘍が大きく有症状の漿液性囊胞腫瘍症例であっても手術リスクが高い場合には,囊胞開窓術を治療選択肢の一つとしてもよいと考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2013.0154