Rokitansky-Aschoff洞内に限局発生したintracholecystic papillary neoplasmの1例

症例は76歳の女性で,他院にて行われた腹部USで胆囊底部に腫瘤性病変が出現し,精査加療目的にて当科へ紹介受診となった.腹部造影CTで胆囊底部の囊胞内に淡く造影される乳頭状腫瘍を認め,胆囊癌を疑った.腹腔鏡下に全層切除の層で胆囊を摘出し,術中迅速病理診断にてNo.12cリンパ節に悪性所見がないことを確認した.病理組織学的診断はRokitansky-Aschoff洞(以下,RASと略記)内に発生したintracholecystic papillary neoplasm(以下,ICPNと略記)であった.免疫組織化学染色検査では,腫瘍組織はMUC1,MUC2,MUC6,CDX2に陰性,MUC5ACに陽...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 57; no. 6; pp. 283 - 289
Main Authors 日髙, 敦弘, 田中, 裕穂, 中山, 正道, 藤田, 文彦, 白濵, 靖久, 木﨑, 潤也, 高橋, 龍司, 矢野, 雄太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.06.2024
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2023.0046

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Summary:症例は76歳の女性で,他院にて行われた腹部USで胆囊底部に腫瘤性病変が出現し,精査加療目的にて当科へ紹介受診となった.腹部造影CTで胆囊底部の囊胞内に淡く造影される乳頭状腫瘍を認め,胆囊癌を疑った.腹腔鏡下に全層切除の層で胆囊を摘出し,術中迅速病理診断にてNo.12cリンパ節に悪性所見がないことを確認した.病理組織学的診断はRokitansky-Aschoff洞(以下,RASと略記)内に発生したintracholecystic papillary neoplasm(以下,ICPNと略記)であった.免疫組織化学染色検査では,腫瘍組織はMUC1,MUC2,MUC6,CDX2に陰性,MUC5ACに陽性,Hep-per1に部分陽性を示し,oncocytic typeの高異型度ICPNと診断した.RAS内に限局発生したICPNはまれであり,胆囊摘出術後の予後は比較的良好とされているが,根治切除後も慎重な経過観察を行うべきである.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2023.0046