カロリ病に合併した巨大肝細胞癌の1切除例

症例は75歳の男性で,C型慢性肝炎にて内科通院中にスクリーニングにて施行された腹部超音波にて肝S7に95 mm大の腫瘤を認め,また左葉優位だが両葉に肝内胆管の囊胞状拡張を多数認めた.ダイナミックCTにても肝S7に早期濃染,後期wash outされる巨大腫瘤を認め,肝細胞癌(hepatocellular carcinoma;HCC)の術前診断にて右肝切除術を施行した.肉眼的に,割面ではS7を中心に11 cm大の内部壊死を伴う白色で境界明瞭な腫瘤を認め,背景肝には門脈域の繊維性拡大とともに囊胞状に拡張した胆管を認めた.病理組織学的に腫瘍は偽腺管様構造を形成する異型上皮の密な増殖からなり,核の大小不...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 49; no. 2; pp. 92 - 98
Main Authors 松本, 尊嗣, 野村, 幸博, 田中, 信孝, 永井, 元樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2016
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2012.0221

Cover

More Information
Summary:症例は75歳の男性で,C型慢性肝炎にて内科通院中にスクリーニングにて施行された腹部超音波にて肝S7に95 mm大の腫瘤を認め,また左葉優位だが両葉に肝内胆管の囊胞状拡張を多数認めた.ダイナミックCTにても肝S7に早期濃染,後期wash outされる巨大腫瘤を認め,肝細胞癌(hepatocellular carcinoma;HCC)の術前診断にて右肝切除術を施行した.肉眼的に,割面ではS7を中心に11 cm大の内部壊死を伴う白色で境界明瞭な腫瘤を認め,背景肝には門脈域の繊維性拡大とともに囊胞状に拡張した胆管を認めた.病理組織学的に腫瘍は偽腺管様構造を形成する異型上皮の密な増殖からなり,核の大小不同,多型性が高度で一部で索状構造が不明瞭な中分化型肝細胞癌であった.拡張した胆管は異型性のない上皮細胞に裏装されており,Caroli病として矛盾しない所見であった.以上から,Caroli病に合併した巨大肝細胞癌と診断した.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2012.0221