術前診断しえた脾辺縁帯リンパ腫の1切除例

症例は56歳の男性で,2011年1月,腹部膨満・上腹部痛を主訴に当院を受診した.左上腹部に脾腫を触知し血液検査で白血球数増加,血小板数減少,可溶性IL-2受容体の上昇を認めた.腹部CTで脾腫を認め,またFDG-PETでは脾にびまん性高集積を認めた.末梢血・骨髄塗抹標本で細胞質辺縁に不規則な突起を有するリンパ球を認めた.末梢血のフローサイトメトリーによる細胞表面マーカーはCD20(+),CD5(–),CD10(–),CD11c(+),CD25(–),CD103(–)であったため脾辺縁帯リンパ腫と診断した.腹痛,血小板減少を認めたため脾摘を施行した.病理組織学的検査所見では小型から中型の異型細胞が...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 47; no. 9; pp. 531 - 537
Main Authors 山下, 浩正, 湯浅, 典博, 竹内, 英司, 後藤, 康友, 三宅, 秀夫, 永井, 英雅, 服部, 正興, 宮田, 完志, 小山, 大輔, 藤野, 雅彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2014
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Summary:症例は56歳の男性で,2011年1月,腹部膨満・上腹部痛を主訴に当院を受診した.左上腹部に脾腫を触知し血液検査で白血球数増加,血小板数減少,可溶性IL-2受容体の上昇を認めた.腹部CTで脾腫を認め,またFDG-PETでは脾にびまん性高集積を認めた.末梢血・骨髄塗抹標本で細胞質辺縁に不規則な突起を有するリンパ球を認めた.末梢血のフローサイトメトリーによる細胞表面マーカーはCD20(+),CD5(–),CD10(–),CD11c(+),CD25(–),CD103(–)であったため脾辺縁帯リンパ腫と診断した.腹痛,血小板減少を認めたため脾摘を施行した.病理組織学的検査所見では小型から中型の異型細胞が白脾髄で辺縁帯を置換し赤脾髄にびまん性に浸潤していた.脾辺縁帯リンパ腫は低悪性度非ホジキンリンパ腫の一つで,摘脾例の本邦報告は自験例を含めて9例であるが術前診断されたのは自験例が初めてである.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2013.0131