特徴的な画像所見を示し術前に診断しえた浸潤性胆囊内乳頭状腫瘍の1例
症例は79歳の女性で,両側肺野の結節影に対して施行した胸部CTにて,偶然胆囊腫瘍が指摘され当科紹介となった.胆囊底部に漸増性に造影される5 cmを超える腫瘍性病変を認めた.腫瘍の芯に相当する部位に石灰化が認められた.周囲への浸潤傾向は認めず,粘液の産生も疑われた.以上より,胆囊内乳頭状腫瘍(intracholecystic papillary neoplasm;以下,ICPNと略記)と診断した.胆囊床切除および胆囊摘出術,センチネルリンパ節切除術を施行した.切除標本肉眼所見は胆囊腔内に粘液の貯留と白色の乳頭状隆起性病変を認め,壊死した部位を伴っていた.病理組織学的検査所見ではlow grade...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 56; no. 7; pp. 384 - 392 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.07.2023
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Summary: | 症例は79歳の女性で,両側肺野の結節影に対して施行した胸部CTにて,偶然胆囊腫瘍が指摘され当科紹介となった.胆囊底部に漸増性に造影される5 cmを超える腫瘍性病変を認めた.腫瘍の芯に相当する部位に石灰化が認められた.周囲への浸潤傾向は認めず,粘液の産生も疑われた.以上より,胆囊内乳頭状腫瘍(intracholecystic papillary neoplasm;以下,ICPNと略記)と診断した.胆囊床切除および胆囊摘出術,センチネルリンパ節切除術を施行した.切除標本肉眼所見は胆囊腔内に粘液の貯留と白色の乳頭状隆起性病変を認め,壊死した部位を伴っていた.病理組織学的検査所見ではlow grade dysplasiaとhigh grade dysplasiaの混在したICPNで,ごく一部に浸潤癌を認めた.組織学的亜分類は,肉眼所見とMUC染色によりgastric typeと診断した.また,#12cリンパ節に微小転移を認めたため後日追加で2群リンパ節郭清を施行した.術前診断可能であったICPNは,ほとんど報告がなくまれであるため報告する. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2022.0038 |