脳卒中による摂食・嚥下障害の予後予測の検討

脳卒中患者の摂食・嚥下リハビリテーションの予後予測 (off-tubeの可否) を, 嚥下造影検査 (videofluorography: VF) 所見と日常生活動作 (activities of daily living, ADL) から検討した.脳卒中患者で誤嚥を疑われた患者延べ34名.VFを日本摂食・嚥下リハビリテーション学会「嚥下造影の標準的手順」を参照して行い, (1) 誤嚥もしくは喉頭侵入の有無, (2) 声帯を越えたか, (3) 不顕性であったか (ムセの有無) , (4) VF結果に基づいた嚥下グレードを評価した.他にADLを評価し, これらと退院時のoff-tubeの可否との...

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Published in昭和医学会雑誌 Vol. 66; no. 6; pp. 392 - 397
Main Authors 佐藤, 新介, 佐藤, まり子, 水間, 正澄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 28.12.2006
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ISSN0037-4342
2185-0976
DOI10.14930/jsma1939.66.392

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Summary:脳卒中患者の摂食・嚥下リハビリテーションの予後予測 (off-tubeの可否) を, 嚥下造影検査 (videofluorography: VF) 所見と日常生活動作 (activities of daily living, ADL) から検討した.脳卒中患者で誤嚥を疑われた患者延べ34名.VFを日本摂食・嚥下リハビリテーション学会「嚥下造影の標準的手順」を参照して行い, (1) 誤嚥もしくは喉頭侵入の有無, (2) 声帯を越えたか, (3) 不顕性であったか (ムセの有無) , (4) VF結果に基づいた嚥下グレードを評価した.他にADLを評価し, これらと退院時のoff-tubeの可否との関係を検討した.退院時にoff-tube可能だったのは19/34例 (55.9%) .VFでは25/34例 (73.5%) で誤嚥もしくは喉頭侵入を認めたが, 11/25例 (44%) は最終的にoff-tube可能であった.退院時のADL良好群では14/15例 (93.3%) とほぼoff-tube可能であったが, ADL不良群では14/19例 (73.7%) でoff-tube不可能であった.誤嚥もしくは喉頭侵入を認めたものでは13/16例 (81.3%) , 声帯を越えたものでは10/12例 (83.3%) , 不顕性では11/13例 (84.6%) でoff-tube不可能であった.嚥下グレード4以下では更に高率に12/12例 (100%) でoff-tube不可能であった.脳卒中における摂食・嚥下障害患者がoff-tube可能となるか否かの判定には, ADLの予後予測とVF所見が有用である可能性が示唆された.
ISSN:0037-4342
2185-0976
DOI:10.14930/jsma1939.66.392