膵intraductal papillary mucinous neoplasmに対する膵頭十二指腸切除後に発生した難治性リンパ漏に対して経皮経肝リンパ管造影とOK-432腹腔内投与が奏効した1例

消化器外科手術後に発生するリンパ漏は時に栄養障害,免疫能の低下を招き,早期に対処しなければ重篤化することがある.今回,我々は膵頭十二指腸切除術(pancreaticoduodenectomy;以下,PDと略記)後に発生した難治性リンパ漏が肝リンパ漏であると診断し,当初はオクトレオチドの持続皮下注およびエチレフリンの持続静注の保存的治療を行ったが軽快せずpreshock状態に陥ったため,直接肝リンパ漏を閉塞する目的で経皮経肝リンパ管造影(percutaneous transhepatic lymphography;以下,PTLと略記)を行いリンパの漏出が半減し,その後に選択的OK-432の腹腔内...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 53; no. 7; pp. 574 - 582
Main Authors 増田, 晃一, 久保田, 啓介, 柴崎, 正幸, 日下, 浩二, 伊地知, 正賢, 阿部, 佳子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.07.2020
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2019.0113

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Summary:消化器外科手術後に発生するリンパ漏は時に栄養障害,免疫能の低下を招き,早期に対処しなければ重篤化することがある.今回,我々は膵頭十二指腸切除術(pancreaticoduodenectomy;以下,PDと略記)後に発生した難治性リンパ漏が肝リンパ漏であると診断し,当初はオクトレオチドの持続皮下注およびエチレフリンの持続静注の保存的治療を行ったが軽快せずpreshock状態に陥ったため,直接肝リンパ漏を閉塞する目的で経皮経肝リンパ管造影(percutaneous transhepatic lymphography;以下,PTLと略記)を行いリンパの漏出が半減し,その後に選択的OK-432の腹腔内投与を行い著効した症例を経験した.PD後のリンパ漏に対してPTLとOK-432の腹腔内投与による治療例の報告はなく,術後難治性リンパ漏の治療において,それが肝リンパ漏に起因する場合には本法は有効な治療選択肢の一つになりうると考えたため報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2019.0113