二期的に腹腔鏡下ヘルニア修復術を施行した大腿ヘルニア嵌頓の1例

症例は74歳の女性で,腹痛を主訴に当院を受診した.右大腿ヘルニア嵌頓と診断し,緊急手術を施行した.診断的腹腔鏡にて小腸のRichter型嵌頓による小腸穿孔を認めた.ヘルニア囊を翻転して結紮し,小開腹にて小腸切除のみを施行した.術後7日目に一時退院し,一期目手術後30日目に二期的にtransabdominal preperitoneal repair(以下,TAPP法と略記)にてヘルニア修復を施行した.腹腔内の高度汚染を伴う鼠径部ヘルニア嵌頓症例においてメッシュ修復は感染の懸念もあり,従来は組織縫合法が施行されてきた.しかし,小腸穿孔に加えて抗凝固薬内服中であったこと,組織縫合法は再発や慢性疼痛...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 50; no. 8; pp. 680 - 686
Main Authors 早川, 俊輔, 安田, 顕, 早川, 哲史, 山本, 稔, 田中, 守嗣, 宮井, 博隆, 藤幡, 士郎, 北上, 英彦, 渡部, かをり, 清水, 保延
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2017
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2016.0128

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Summary:症例は74歳の女性で,腹痛を主訴に当院を受診した.右大腿ヘルニア嵌頓と診断し,緊急手術を施行した.診断的腹腔鏡にて小腸のRichter型嵌頓による小腸穿孔を認めた.ヘルニア囊を翻転して結紮し,小開腹にて小腸切除のみを施行した.術後7日目に一時退院し,一期目手術後30日目に二期的にtransabdominal preperitoneal repair(以下,TAPP法と略記)にてヘルニア修復を施行した.腹腔内の高度汚染を伴う鼠径部ヘルニア嵌頓症例においてメッシュ修復は感染の懸念もあり,従来は組織縫合法が施行されてきた.しかし,小腸穿孔に加えて抗凝固薬内服中であったこと,組織縫合法は再発や慢性疼痛がメッシュ法より高率であることを考慮して二期的にTAPP法を施行した.鼠径部嵌頓ヘルニアに対する二期的腹腔鏡下ヘルニア修復術は,治療選択肢の一つとなりうると考えられたため報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2016.0128