胃gastrointestinal stromal tumor切除によりネフローゼ症候群が軽快した1例

肺癌や胃癌,乳癌などの固形癌にネフローゼ症候群を合併した例は多数報告されている.Gastrointestinal stromal tumor(以下,GISTと略記)に随伴したネフローゼ症候群の報告例は,1950年から2012年9月までのPubMedで検索した結果,1例のみであった.今回,我々は胃GISTに随伴した膜性腎症を発症し,根治手術によってネフローゼ症候群が軽快した症例を経験したので報告する.症例は73歳の男性で,両下腿の浮腫を主訴に内科を受診した.血液・尿検査よりネフローゼ症候群と診断し,腎生検で膜性腎症の診断を得た.蛍光抗体法により悪性腫瘍に随伴する二次性膜性腎症が疑われた.精査で,...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 46; no. 9; pp. 654 - 661
Main Authors 佐々木, 晋一, 中村, 征勝, 中津, 敏允, 橋本, 正治, 戸沢, 香澄, 平宇, 健治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2013
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2012.0284

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Summary:肺癌や胃癌,乳癌などの固形癌にネフローゼ症候群を合併した例は多数報告されている.Gastrointestinal stromal tumor(以下,GISTと略記)に随伴したネフローゼ症候群の報告例は,1950年から2012年9月までのPubMedで検索した結果,1例のみであった.今回,我々は胃GISTに随伴した膜性腎症を発症し,根治手術によってネフローゼ症候群が軽快した症例を経験したので報告する.症例は73歳の男性で,両下腿の浮腫を主訴に内科を受診した.血液・尿検査よりネフローゼ症候群と診断し,腎生検で膜性腎症の診断を得た.蛍光抗体法により悪性腫瘍に随伴する二次性膜性腎症が疑われた.精査で,膵臓や横隔膜脚に広範に接する直径10 cm大の胃GISTが疑われたため,胃全摘,膵体尾部切除を行った.術後,血清総蛋白やアルブミンは上昇し,尿蛋白/尿中クレアチニン比は低下した.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2012.0284