分娩周辺期における母体血中Oxytocin, Estrogen Stimulated Neurophysinおよび各種Steroid Hormone値の関係
分娩発来に関与すると考えられるOxytocin (OXT) とその間脳下垂体系の担体であるEstrogen stimulated Neurophysin (ESN) は, その作用の発現および分泌にEstrogen (E) が関与していることはよく知られているが, 分娩発来周辺期においてこれら蛋白ホルモンと胎児胎盤系ステロイド (S) がどのように変化し関連しているか未だ明らかでない.そこで30例の正常妊婦を対象として, 分娩開始1週間前 (1W) , 分娩第1期 (I) , 分娩第II期 (II) , 児娩出時 (D) および分娩後2時間 (IV) まで同一妊婦を連続追跡し, 母体血中遊離型...
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Published in | 昭和医学会雑誌 Vol. 49; no. 3; pp. 236 - 242 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
昭和大学学士会
1989
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Subjects | |
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Summary: | 分娩発来に関与すると考えられるOxytocin (OXT) とその間脳下垂体系の担体であるEstrogen stimulated Neurophysin (ESN) は, その作用の発現および分泌にEstrogen (E) が関与していることはよく知られているが, 分娩発来周辺期においてこれら蛋白ホルモンと胎児胎盤系ステロイド (S) がどのように変化し関連しているか未だ明らかでない.そこで30例の正常妊婦を対象として, 分娩開始1週間前 (1W) , 分娩第1期 (I) , 分娩第II期 (II) , 児娩出時 (D) および分娩後2時間 (IV) まで同一妊婦を連続追跡し, 母体血中遊離型Estrone (E1) , Estradiol (E2) , Estriol (E3) , Progesterone (P4) , Dehydroepiandrosterone (DHA) およびDHA-sulfate (DHA-S) をGC.MS法で, OXT, ESNをRIA法で測定し, それらの動態および相互関係を検討した. (1) S値の動態; E1, E2, E3は1WよりDまで変化は少なく, E2, E3はIVで著減するが, E1はほとんど変化しない.P4は1W-I間, I-D間, D-IV間で有意に減少する (P<0.001) .DHA, DHA-Sは共に1W-I間, I-D間で有意に増加しD-IV間では有意に減少する. (2) OXT値, ESN値の動態; OXTは1WからIまで変化は少なく, I-D間で有意に増加し (P<0.05) , IVでは減少する.ESNはDで最高値を示すが, IからIVまで変化は少ない. (3) 各ホルモン間の相関関係; 1WからDにおける各ホルモン問の相関関係を検討すると, E1とESN (r=0.3585, p<0.001) , E2とESN (r=0.2214, p<0.02) , DHA-SとOXT (r=0.1988, p<0.05) , OXTとESN (r=0.2588, p<0.01) に有意な正の相関が認められた.以上の成績より (i) 分娩経過中ESNは, E2のみでなくE1とも相関していることが示された. (ii) 分娩発来から分娩第1期にかけてP4の減少, DHA-Sの増加があり分娩発来後初めてOXTの増加が認められることから, 分娩発来に直接関与するのは胎児胎盤系Sの変化であり, OXTは妊娠末期に既に最高値に達しておりその変化が直接分娩発来に関与するのではないこと, さらに分娩経過中に増量することから分娩の促進にも働いている可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0037-4342 2185-0976 |
DOI: | 10.14930/jsma1939.49.236 |