X線コンピューター断層撮影法による成人大腿部組織構成の観察

健康な成人60名 (男女各30名) の大腿部 (膝蓋骨底上方15cm) のCT写真を撮影し, その写真について総断面積と皮下脂肪, 筋肉, 骨の各断面積及び皮下脂肪の厚さを計測し, 性別, 年齢別, 体型別の比較検討を行なった.年齢は19歳以下, 20~24歳25~29歳30~34歳35歳以上の5段階に, 体型はローレル指数によってA (129以下) , C (130~149) , D (150以上) の3型にそれぞれ区分した.結果: 1.大腿部の組織構成比は男女とも筋が70%前後を占め最も高く, 以下, 皮下脂肪, 骨の順であったが, 筋は男性が, 皮下脂肪は女性がそれぞれ他よりも高く, 側...

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Published in昭和医学会雑誌 Vol. 45; no. 4; pp. 517 - 525
Main Author 渡辺, 玄一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 1985
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ISSN0037-4342
2185-0976
DOI10.14930/jsma1939.45.517

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Summary:健康な成人60名 (男女各30名) の大腿部 (膝蓋骨底上方15cm) のCT写真を撮影し, その写真について総断面積と皮下脂肪, 筋肉, 骨の各断面積及び皮下脂肪の厚さを計測し, 性別, 年齢別, 体型別の比較検討を行なった.年齢は19歳以下, 20~24歳25~29歳30~34歳35歳以上の5段階に, 体型はローレル指数によってA (129以下) , C (130~149) , D (150以上) の3型にそれぞれ区分した.結果: 1.大腿部の組織構成比は男女とも筋が70%前後を占め最も高く, 以下, 皮下脂肪, 骨の順であったが, 筋は男性が, 皮下脂肪は女性がそれぞれ他よりも高く, 側差は認められなかった.2.年齢別に筋は男女とも25~29歳までは増加, 30歳代から減少の傾向を示し, 脂肪は男性では25~29歳迄増加, 35歳以上で再増加の傾向を示し, 女性では25~29歳で一時的に減少した.従って, 男性では筋の比率は加齢的に減少の傾向を示した.3.総断面積, 筋及び脂肪層の各断面積はD, C, A体型の順に大で, 女性のD体型では脂肪の比率は50%近くになった.4.皮下脂肪厚は男女とも内側部が最も厚く, 外側部が最も薄くて, 男性では最も厚い部と最も薄い部の差が女性に比べて著しく大であった.5.筋腹横断面積は, 男性では中間広筋, 大内転筋, 外側広筋, 大腿二頭筋の順に, 女性では中間広筋, 外側広筋, 大内転筋, 大腿二頭筋の順に大であったが, 長内転筋の筋腹が断面にはいらない例が特に男性に多かった.6.年齢的には伸筋群と屈筋群の断面積は女性では男性に比べて30歳以上で, 減少が著しくなる向が見られた.7.男女の大腿直筋, 中間広筋, 外側広筋, 大腿二頭筋, 男性の大内転筋では断面積はA, C, D体型の順に大きくなる傾向が見られた.8.骨の断面積は各年齢, 各体型において男性が女性に優る傾向が見られた.
ISSN:0037-4342
2185-0976
DOI:10.14930/jsma1939.45.517