ヒトにおける十二指腸内胆汁のCholecystokinin分泌に及ぼす影響

ラットでは, 十二指腸内の胆汁の存在がCholecystokinin (CCK) 分泌や膵外分泌に影響を与えることが報告されているが, ヒトにおいて, 胆汁の存在がCCK分泌に及ぼす影響について検討した報告は少ない.閉塞性黄疸における胆汁外瘻症例は, ヒトにおいて胆汁のCCK分泌の制御機構への関与を確認できる最適な病態の一つである.Radioimmunoassay (RIA) 法によるCCK測定では血漿中の非特異的干渉物質の影響が認められ, ラット遊離膵腺房を用いてのアミラーゼ放出によるbioassay法でのCCKの測定では, 胆汁酸によるアミラーゼ放出の増強が指摘され, 閉塞性黄疸症例でのC...

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Published in昭和医学会雑誌 Vol. 55; no. 4; pp. 319 - 326
Main Authors 倉林, 幹雄, 新川, 淳一, 秋田, 泰, 田中, 滋城, 八田, 善夫, 三田村, 圭二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 28.08.1995
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ISSN0037-4342
2185-0976
DOI10.14930/jsma1939.55.319

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Summary:ラットでは, 十二指腸内の胆汁の存在がCholecystokinin (CCK) 分泌や膵外分泌に影響を与えることが報告されているが, ヒトにおいて, 胆汁の存在がCCK分泌に及ぼす影響について検討した報告は少ない.閉塞性黄疸における胆汁外瘻症例は, ヒトにおいて胆汁のCCK分泌の制御機構への関与を確認できる最適な病態の一つである.Radioimmunoassay (RIA) 法によるCCK測定では血漿中の非特異的干渉物質の影響が認められ, ラット遊離膵腺房を用いてのアミラーゼ放出によるbioassay法でのCCKの測定では, 胆汁酸によるアミラーゼ放出の増強が指摘され, 閉塞性黄疸症例でのCCK測定に問題を残していた.そこでSep PakC18 Cartridgeを用いてCCKを血漿から抽出することにより, RIA法に影響を及ぼす血漿中の非特異的干渉物質を除去し, CCK-8N端特異抗体OAL-656により, CCKの高感度測定系を開発した.この測定系を用いて, 胆管癌による肝外閉塞性黄疸をきたし, 胆道ドレナージ (PTCD, ENBD) を施行した10症例を対象とし, 胆道ドレナージ前後, 試験食負荷前後の血中CCK濃度を測定し, CCK分泌動態を検討した.胆道ドレナージ後, 空腹時血中CCK濃度は健常人と比較して高値で推移した.試験食負荷による血中CCK濃度の検討では, 胆道ドレナージ前には健常人と比較してCCK分泌の著明な高反応と血中CCK濃度の持続的な上昇を認めた.ドレナージ後には反応性は低下したが, 血中CCK濃度の上昇は健常人と比較して遷延した.以上の結果より, ヒトにおいても十二指腸内の胆汁の存在がCCK分泌に影響を及ぼしていると考えられた.
ISSN:0037-4342
2185-0976
DOI:10.14930/jsma1939.55.319