高齢者広範囲胆管癌に対して肝切除を伴う膵頭十二指腸切除を回避するための肝右葉切除尾状葉切除胆道再建術および術後放射線治療の有用性

肝切除を伴う膵頭十二指腸切除(hepatopancreatoduodenectomy;以下,HPDと略記)は広範囲胆管癌に対する根治療法として導入され,R0切除かつリンパ節転移陰性であれば予後は良好であるが,高難度手術であるHPDの手術関連死亡率や術後合併症率は依然として高く,その適応に関しては十分な配慮が必要である.特に高齢者に対しては,若年者よりも高い手術関連死亡率や,術後の合併症によって補助化学療法の開始が遅れるなど,デメリットも多く考えられるため,症例の選択には慎重かつ多角的な判断が求められる.今回,高齢者の広範囲胆管癌に対して,HPDを回避するために肝右葉・尾状葉切除胆道再建術を施行...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 57; no. 5; pp. 250 - 257
Main Authors 増井, 俊彦, 石井, 隆道, 田浦, 康二朗, 西野, 裕人, 楊, 知明, 瀬尾, 智, 戸田, 怜, 小木曾, 聡, 波多野, 悦朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.05.2024
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2022.0125

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Summary:肝切除を伴う膵頭十二指腸切除(hepatopancreatoduodenectomy;以下,HPDと略記)は広範囲胆管癌に対する根治療法として導入され,R0切除かつリンパ節転移陰性であれば予後は良好であるが,高難度手術であるHPDの手術関連死亡率や術後合併症率は依然として高く,その適応に関しては十分な配慮が必要である.特に高齢者に対しては,若年者よりも高い手術関連死亡率や,術後の合併症によって補助化学療法の開始が遅れるなど,デメリットも多く考えられるため,症例の選択には慎重かつ多角的な判断が求められる.今回,高齢者の広範囲胆管癌に対して,HPDを回避するために肝右葉・尾状葉切除胆道再建術を施行し,術後に放射線治療を行うことで良好な結果を得た症例を経験した.当科での高齢者胆管癌症例の成績も踏まえたうえで,治療戦略の一つとして提示する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2022.0125