集学的治療を施行した多発肝mucosa-associated lymphoid tissueリンパ腫の1例

症例は62歳の女性で,糖尿病教育入院中の腹部超音波検査で,肝S4に24 mmと22 mm大の低エコー腫瘤を認めた.同病変は造影CTの動脈相で淡く造影され,平衡相では周囲の肝実質よりやや低吸収域を呈した.経動脈的門脈造影下CT,MRIでは肝S1にも8 mm大の病変を認めた.多発肝細胞癌と診断し,肝切除の方針とした.術中に肝S1病変は同定できず,肝内側区域切除術を施行した.病理結果からmucosa-associated lymphoid tissue(以下,MALTと略記)リンパ腫と診断した.術後リツキシマブ療法により肝S1病変は消失し,術後3年9か月無再発生存中である.肝原発MALTリンパ腫はま...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 54; no. 2; pp. 98 - 106
Main Authors 野口, 彩, 吉田, 寛, 川口, 信哉, 橋本, 明彦, 白相, 悟, 藤川, 奈々子, 土師, 陽一, 志村, 充広, 遠山, 慎吾, 浅野, 重之, 新谷, 史明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.02.2021
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Summary:症例は62歳の女性で,糖尿病教育入院中の腹部超音波検査で,肝S4に24 mmと22 mm大の低エコー腫瘤を認めた.同病変は造影CTの動脈相で淡く造影され,平衡相では周囲の肝実質よりやや低吸収域を呈した.経動脈的門脈造影下CT,MRIでは肝S1にも8 mm大の病変を認めた.多発肝細胞癌と診断し,肝切除の方針とした.術中に肝S1病変は同定できず,肝内側区域切除術を施行した.病理結果からmucosa-associated lymphoid tissue(以下,MALTと略記)リンパ腫と診断した.術後リツキシマブ療法により肝S1病変は消失し,術後3年9か月無再発生存中である.肝原発MALTリンパ腫はまれな疾患であり,標準治療は確立されていない.既報では手術単独療法が多く,集学的治療に関する報告は少ない.本症例の治療経過から,術後の追加治療としてリツキシマブ療法が有効である可能性が示唆される.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2019.0134