右側肝円索を伴う急性胆囊炎に対し経皮経肝胆囊ドレナージを施行し胆汁性腹膜炎を来した1例
症例は88歳の女性で,発熱を認め来院しCTで急性胆囊炎と総胆管結石と診断した.この時点では胆囊が緊満し右側肝円索と診断されていなかった.胆囊摘出術前に総胆管結石採石を予定し経皮経肝胆囊ドレナージ(percutaneous transhepatic gallbladder drainage;以下,PTGBDと略記)を施行した.PTGBD翌日に炎症反応と腹痛の増悪を認め造影CTで胆汁漏による腹膜炎の所見を認め緊急手術の方針とした.造影CTで門脈左枝から外側区域枝と前区域枝と内側区域枝の共通管が分岐する門脈走行異常を認め肝円索が門脈前区域枝に合流しており右側肝円索と判断した.開腹所見で胆囊は肝円索左...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 54; no. 3; pp. 200 - 207 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.03.2021
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2020.0041 |
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Summary: | 症例は88歳の女性で,発熱を認め来院しCTで急性胆囊炎と総胆管結石と診断した.この時点では胆囊が緊満し右側肝円索と診断されていなかった.胆囊摘出術前に総胆管結石採石を予定し経皮経肝胆囊ドレナージ(percutaneous transhepatic gallbladder drainage;以下,PTGBDと略記)を施行した.PTGBD翌日に炎症反応と腹痛の増悪を認め造影CTで胆汁漏による腹膜炎の所見を認め緊急手術の方針とした.造影CTで門脈左枝から外側区域枝と前区域枝と内側区域枝の共通管が分岐する門脈走行異常を認め肝円索が門脈前区域枝に合流しており右側肝円索と判断した.開腹所見で胆囊は肝円索左側に位置し右側肝円索と診断した.PTGBDチューブは皮膚-肝臓-腹腔内-胆囊の順で穿刺され胆汁漏の原因であった.右側肝円索症例ではPTGBDによる胆汁漏を起こす可能性があり解剖を十分把握する必要がある. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2020.0041 |