胃全摘後23年目に十二指腸球部盲端に腺癌が発症したGardner症候群の1例
Gardner症候群に伴う後腹膜デスモイド腫瘍に対して施行された胃全摘術後23年目に,十二指腸球部盲端に腺癌が発症した症例を経験した.胃全摘後の盲端となった十二指腸球部癌の本邦報告例はなく,非常にまれであるため報告する.症例は57歳の女性で,26年前に家族性大腸腺腫症に対し大腸全摘を受け,23年前に後腹膜デスモイド腫瘍に対し胃全摘,Roux-en-Y再建の既往があり,このときGardner症候群と診断された.2010年9月に上腹部に腫瘤を触知し,CTでその腫瘤は37 mm大で十二指腸盲端と連続していた.2010年10月に手術を施行し,十二指腸球部に発症した腫瘤は肝臓・膵頭部・総胆管・腹壁に浸潤...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 46; no. 2; pp. 85 - 90 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2013
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2012.0142 |
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Summary: | Gardner症候群に伴う後腹膜デスモイド腫瘍に対して施行された胃全摘術後23年目に,十二指腸球部盲端に腺癌が発症した症例を経験した.胃全摘後の盲端となった十二指腸球部癌の本邦報告例はなく,非常にまれであるため報告する.症例は57歳の女性で,26年前に家族性大腸腺腫症に対し大腸全摘を受け,23年前に後腹膜デスモイド腫瘍に対し胃全摘,Roux-en-Y再建の既往があり,このときGardner症候群と診断された.2010年9月に上腹部に腫瘤を触知し,CTでその腫瘤は37 mm大で十二指腸盲端と連続していた.2010年10月に手術を施行し,十二指腸球部に発症した腫瘤は肝臓・膵頭部・総胆管・腹壁に浸潤していたが完全摘出した.摘出標本で十二指腸球部盲端に2型の腫瘍を認め,病理組織学的検査では中分化腺癌であった.術後8か月現在,肝転移が出現し化学療法を施行している. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2012.0142 |