大腸癌卵巣転移切除術の予後についての検討
目的:大腸癌卵巣転移は,大腸癌取扱い規約第8版では腹膜播種の一つに分類されていた.しかし,規約の改訂に伴い第9版では卵巣単独転移については1臓器への遠隔転移に分類されることとなった.R0切除が期待できる遠隔転移については,切除することで予後が改善されるとの報告があり,卵巣転移の切除と予後について検討した.方法:1998年~2018年の間に当院で経験した卵巣転移切除症例17例のうち,卵巣単独転移を認めるM1a症例9例(以下,Ov単独群と略記),卵巣転移に腹膜播種を伴うM1c2症例8例(以下,Ov+腹膜播種群と略記)の,患者背景や予後について検討した.結果:Ov単独群の全生存期間の中央値は45.4...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 54; no. 4; pp. 245 - 252 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.04.2021
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2019.0145 |
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Summary: | 目的:大腸癌卵巣転移は,大腸癌取扱い規約第8版では腹膜播種の一つに分類されていた.しかし,規約の改訂に伴い第9版では卵巣単独転移については1臓器への遠隔転移に分類されることとなった.R0切除が期待できる遠隔転移については,切除することで予後が改善されるとの報告があり,卵巣転移の切除と予後について検討した.方法:1998年~2018年の間に当院で経験した卵巣転移切除症例17例のうち,卵巣単独転移を認めるM1a症例9例(以下,Ov単独群と略記),卵巣転移に腹膜播種を伴うM1c2症例8例(以下,Ov+腹膜播種群と略記)の,患者背景や予後について検討した.結果:Ov単独群の全生存期間の中央値は45.4か月で3年累計生存率は66%,5年生存率は50%であった.Ov+腹膜播種群の全生存期間の中央値は9.3か月で1年累計生存率は42%,3年累計生存率は0%であった.両群の全生存期間についてKaplan-Meier曲線を作成して検討したところ,Ov単独群が有意に予後良好であった(P=0.029).結語:大腸癌卵巣単独転移群は,卵巣転移腹膜播種併発群よりも有意に予後良好であり,卵巣単独転移症例については積極的に両側付属器切除術を施行すべきであると考えられた. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2019.0145 |