2次性大動脈十二指腸瘻の3症例

2次性大動脈十二指腸瘻(secondary aortoduodenal fistula;以下,sADFと略記)はまれな疾患ではあるが,診断に難渋し致死的な転機をたどることも多い.今回,我々はsADFの3症例を経験し,診断・治療・術後成績の三つの観点から検討を行った.2症例は吐・下血の原因としてのsADFの診断に難渋し,全症例でsADFに対する治療介入を行い一旦は救命できたもののうち2症例は術後感染症により致死的な転帰をたどった.人工血管置換術後の消化管出血を見た場合,sADFを鑑別疾患として挙げ,感度・特異度とも高いとされているCTを早期に行うことが重要である.また,sADFが疑われた場合,感...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 51; no. 6; pp. 406 - 414
Main Authors 小森, 孝通, 本告, 正明, 團野, 克樹, 中塚, 梨絵, 藤谷, 和正, 松浦, 記大, 宮崎, 進, 柏崎, 正樹, 岩瀬, 和裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.06.2018
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2017.0005

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Summary:2次性大動脈十二指腸瘻(secondary aortoduodenal fistula;以下,sADFと略記)はまれな疾患ではあるが,診断に難渋し致死的な転機をたどることも多い.今回,我々はsADFの3症例を経験し,診断・治療・術後成績の三つの観点から検討を行った.2症例は吐・下血の原因としてのsADFの診断に難渋し,全症例でsADFに対する治療介入を行い一旦は救命できたもののうち2症例は術後感染症により致死的な転帰をたどった.人工血管置換術後の消化管出血を見た場合,sADFを鑑別疾患として挙げ,感度・特異度とも高いとされているCTを早期に行うことが重要である.また,sADFが疑われた場合,感染のコントロール,すなわち人工血管除去を念頭に遅滞のない手術を考慮することが重要である.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2017.0005