中腸軸捻転を待機的に腹腔鏡下手術で整復した成人腸回転異常症の1例

症例は79歳の女性で,10年以上前から定期的な嘔吐を認めていたが,日常生活に支障はなく経過観察していた.数か月前より嘔気,嘔吐などの症状増悪を徐々に認め,近医を受診した.症状の改善なく,精査加療目的で当院に紹介となった.来院時,腹膜刺激兆候は認めず,血液検査でも炎症反応の上昇は認めなかった.腹部造影CTの所見より,腸回転異常症に伴う中腸軸捻転と診断した.検査所見,臨床所見の結果より緊急手術の適応はなく,待機的に手術を行う予定となった.手術は腹腔鏡下にて行い,捻転整復とLadd手術を行った.術後経過は良好で,退院後は異常所見の出現なく経過している.一般的に,腸回転異常症に伴う中腸軸捻転は小児期に...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 50; no. 2; pp. 139 - 145
Main Authors 松田, 宙, 本告, 正明, 團野, 克樹, 中塚, 梨絵, 藤谷, 和正, 渡邊, 篤, 久保田, 勝, 宮崎, 進, 岩瀬, 和裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2017
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2016.0025

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Summary:症例は79歳の女性で,10年以上前から定期的な嘔吐を認めていたが,日常生活に支障はなく経過観察していた.数か月前より嘔気,嘔吐などの症状増悪を徐々に認め,近医を受診した.症状の改善なく,精査加療目的で当院に紹介となった.来院時,腹膜刺激兆候は認めず,血液検査でも炎症反応の上昇は認めなかった.腹部造影CTの所見より,腸回転異常症に伴う中腸軸捻転と診断した.検査所見,臨床所見の結果より緊急手術の適応はなく,待機的に手術を行う予定となった.手術は腹腔鏡下にて行い,捻転整復とLadd手術を行った.術後経過は良好で,退院後は異常所見の出現なく経過している.一般的に,腸回転異常症に伴う中腸軸捻転は小児期に散見し,成人例はまれである.腹腔鏡下に整復手術を行った報告は少なく,腹腔鏡下にLadd手術と軸捻転整復を完遂した症例を経験したので報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2016.0025