膵癌術後の難治性腹水に対しデンバーシャント®を留置して術後補助化学療法を施行できた2例

膵癌術後の難治性腹水に対し,デンバーシャント®を造設した2例を報告する.症例1は74歳の男性で,全胃温存膵全摘術,D2郭清の術後2か月で難治性乳び腹水が出現し,術後6か月でデンバーシャント®を造設した.症例2は肝硬変の既往がある71歳の女性で,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術,D2郭清の術後1か月で難治性腹水が出現し,術後2か月でデンバーシャント®を造設した.2例とも腹水は早期に減少し,術後補助化学療法を症例1では再開かつ完遂でき,症例2では導入することができた.症例1はデンバーシャント®造設後1年10か月,症例2は5か月経過したが,腹水は良好に制御できている.デンバーシャント®は腹水を早期に制御...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 55; no. 4; pp. 260 - 268
Main Authors 田原, 俊哉, 首藤, 毅, 羽田野, 直人, 森本, 博司, 嶋田, 徳光, 田澤, 宏文, 鈴木, 崇久, 尾上, 隆司, 清水, 洋祐, 田代, 裕尊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.04.2022
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:膵癌術後の難治性腹水に対し,デンバーシャント®を造設した2例を報告する.症例1は74歳の男性で,全胃温存膵全摘術,D2郭清の術後2か月で難治性乳び腹水が出現し,術後6か月でデンバーシャント®を造設した.症例2は肝硬変の既往がある71歳の女性で,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術,D2郭清の術後1か月で難治性腹水が出現し,術後2か月でデンバーシャント®を造設した.2例とも腹水は早期に減少し,術後補助化学療法を症例1では再開かつ完遂でき,症例2では導入することができた.症例1はデンバーシャント®造設後1年10か月,症例2は5か月経過したが,腹水は良好に制御できている.デンバーシャント®は腹水を早期に制御でき,術後補助化学療法の導入や継続を可能にすることで,膵癌術後急性期の非悪性難治性腹水患者の予後を延長させる可能性がある.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2021.0057