Streptococcus bovis髄膜炎を契機に発見された腸重積を伴う大腸腺腫の1例
Streptococcus bovis(以下,S. bovisと略記)は腸管内常在菌の一種であり,海外ではS. bovis菌血症と大腸腫瘍の合併率が高いことが報告されている.しかし,本邦ではその報告例は少なく認識度が低いのが現状である.今回,我々はS. bovisによる髄膜炎を契機に発見された大腸腺腫の1例を経験したので報告する.症例は39歳の男性で,頭痛を主訴に受診した.髄膜炎と診断,感染源検索のため施行したCTにて上行結腸の重積像を認めた.腸重積は保存的に改善するも,血液,髄液培養からS. bovisが検出,下部消化管内視鏡にて上行結腸に腺腫を認めた.腺腫とS. bovis菌血症の関連を考...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 49; no. 6; pp. 541 - 547 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2016
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2015.0075 |
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Summary: | Streptococcus bovis(以下,S. bovisと略記)は腸管内常在菌の一種であり,海外ではS. bovis菌血症と大腸腫瘍の合併率が高いことが報告されている.しかし,本邦ではその報告例は少なく認識度が低いのが現状である.今回,我々はS. bovisによる髄膜炎を契機に発見された大腸腺腫の1例を経験したので報告する.症例は39歳の男性で,頭痛を主訴に受診した.髄膜炎と診断,感染源検索のため施行したCTにて上行結腸の重積像を認めた.腸重積は保存的に改善するも,血液,髄液培養からS. bovisが検出,下部消化管内視鏡にて上行結腸に腺腫を認めた.腺腫とS. bovis菌血症の関連を考慮し,髄膜炎治癒後に回盲部切除術を施行した.病理組織学的検査結果は高異型度管状絨毛腺腫であった.S. bovis菌血症と大腸腫瘍,髄膜炎発症の関連性について報告する. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2015.0075 |