門脈内ガス血症における重症度診断に寄与する因子の検討
目的:門脈内ガス血症(hepatic portal venous gas;以下,HPVGと略記)症例の手術適応の決定は腸管壊死の有無によると考えられ,その診断に寄与する因子につき検討した.方法:2003年8月より2011年12月までに当院にて経験したHPVG症例22例のうちで腸管囊胞性気腫症(pneumatosis intestinalis;以下,PIと略記)を呈したHPVG症例15例について腸管虚血・壊死の診断に寄与する因子の検討を行った.結果:検討を行った15例は8例が虚血群,5例が壊死群に分類され,2例が分類不能であった.血液生化学検査(WBC,CRP,LDH,AST,ALT,CPK,T...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 47; no. 3; pp. 165 - 172 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2014
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2013.0086 |
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Summary: | 目的:門脈内ガス血症(hepatic portal venous gas;以下,HPVGと略記)症例の手術適応の決定は腸管壊死の有無によると考えられ,その診断に寄与する因子につき検討した.方法:2003年8月より2011年12月までに当院にて経験したHPVG症例22例のうちで腸管囊胞性気腫症(pneumatosis intestinalis;以下,PIと略記)を呈したHPVG症例15例について腸管虚血・壊死の診断に寄与する因子の検討を行った.結果:検討を行った15例は8例が虚血群,5例が壊死群に分類され,2例が分類不能であった.血液生化学検査(WBC,CRP,LDH,AST,ALT,CPK,T-Bil,pH,乳酸値)では両群間で統計学的有意差は認めなかった.画像所見では虚血群8例のうち7例がbubble like pneumatosis,1例のみband like pneumatosisであった.壊死群5例は全例band like pneumatosisであり有意差を認めた(P=0.009).上腸間膜静脈内ガス(superior mesenteric venous gas;以下,SMVGと略記)については腸管虚血群8例中3例,腸管壊死群5例全例に認め,腸管壊死群に有意に多く認めた(P=0.049).結語:PIの部位やその範囲,SMVGの有無は腸管虚血か,壊死かの診断の一助となる可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2013.0086 |