血管内治療と外科治療で救命できた固有肝動脈瘤破裂の1例

症例は69歳の女性で,吐血のため救急受診した.上部消化管内視鏡検査中に出血性ショックとなり,内視鏡的止血は困難であったため,緊急interventional radiologyを施行した.腹腔動脈造影にて固有肝動脈瘤が描出され,TAEを試みたが固有肝動脈内腔が狭小化しており,選択的カニュレーションは極めて困難であった.一方で上腸間膜動脈から膵周囲を経て右肝動脈への血流が確認されたため,総肝動脈から胃十二指腸動脈までTAEを施行し,動脈瘤への血流の大部分は遮断された.その2日後のCTにて,上腸間膜動脈から右肝動脈を経由した固有肝動脈と右胃動脈を介して動脈瘤への血流を認め,再破裂が予想されたため準...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 51; no. 6; pp. 445 - 452
Main Authors 大島, 正寛, 加藤, 洋介, 林, 憲吾, 山田, 翔, 尾山, 佳永子, 原, 拓央, 小竹, 優範, 澤田, 幸一郎, 羽田, 匡宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.06.2018
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2017.0091

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Summary:症例は69歳の女性で,吐血のため救急受診した.上部消化管内視鏡検査中に出血性ショックとなり,内視鏡的止血は困難であったため,緊急interventional radiologyを施行した.腹腔動脈造影にて固有肝動脈瘤が描出され,TAEを試みたが固有肝動脈内腔が狭小化しており,選択的カニュレーションは極めて困難であった.一方で上腸間膜動脈から膵周囲を経て右肝動脈への血流が確認されたため,総肝動脈から胃十二指腸動脈までTAEを施行し,動脈瘤への血流の大部分は遮断された.その2日後のCTにて,上腸間膜動脈から右肝動脈を経由した固有肝動脈と右胃動脈を介して動脈瘤への血流を認め,再破裂が予想されたため準緊急手術の方針とした.右胃動脈,右肝動脈,左肝動脈をそれぞれ結紮して動脈瘤への血行を遮断した.経過は良好で術後15日で退院した.術後のCTでは動脈瘤は器質化し,右肝動脈からの交通枝によって左肝動脈への血流が保たれていることが確認された.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2017.0091