不審死の捜査についての大学生の素朴な自殺の判断 遺書の有無および自殺を支持しない故人情報の提示の有無の影響

「問題」「死因の推定手続き」死因の推定手続きは, 捜査の端緒として実施される, 「犯罪性の有無を鑑別することを目的として, 法科学の知識に基づいて遺体の状況を分析することにより, 遺体の死因(自然死・事故死・自殺・他殺)を推定しようとする手続き」(入山, 2016)である. 特に死因の推定手続きは, 自然死以外の死因で, かつ他殺が疑われる不審な死亡事例(以下, 不審死とする)の捜査において重要となる. 捜査への研究知見の応用を目指す捜査心理学の領域では, 犯罪者プロファイリング等をテーマに研究が行われてきた. 今後, 研究の蓄積が期待されるテーマの1つが, 死因の推定手続きをテーマとした研究...

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Published in応用心理学研究 Vol. 46; no. 2; pp. 149 - 157
Main Author 入山, 茂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本応用心理学会 30.11.2020
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ISSN0387-4605
2433-7633
DOI10.24651/oushinken.46.2_149

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Summary:「問題」「死因の推定手続き」死因の推定手続きは, 捜査の端緒として実施される, 「犯罪性の有無を鑑別することを目的として, 法科学の知識に基づいて遺体の状況を分析することにより, 遺体の死因(自然死・事故死・自殺・他殺)を推定しようとする手続き」(入山, 2016)である. 特に死因の推定手続きは, 自然死以外の死因で, かつ他殺が疑われる不審な死亡事例(以下, 不審死とする)の捜査において重要となる. 捜査への研究知見の応用を目指す捜査心理学の領域では, 犯罪者プロファイリング等をテーマに研究が行われてきた. 今後, 研究の蓄積が期待されるテーマの1つが, 死因の推定手続きをテーマとした研究(以下, 死因の推定手続き研究)であるといわれている(Canter & Youngs, 2009). 欧米の一部の地域では, 実務レベルの死因の推定手続き研究として, 自殺または自殺以外の死因(事故・他殺)であるかの判断が難しい不審死について, 主に臨床心理学の専門家が故人の認知, 感情や行動に関する情報と死体現場の情報を総合し, 故人の心理的側面からみた自殺の可能性の高低を事例分析的に推定する試みが行われている.
ISSN:0387-4605
2433-7633
DOI:10.24651/oushinken.46.2_149