急激な転帰を辿ったGranulocyte colony stimulating factor(G-CSF)産生肝内胆管癌の1例

症例は76歳,女性.2週間続く心窩部痛を主訴に受診した.造影CTにて肝右葉に辺縁主体に造影される巨大不整形腫瘍を認め,肝内胆管癌と診断した.肝門部から傍大動脈領域には腫大リンパ節が散見され,肺野には小結節が多発し転移を疑った.白血球数は37800 /μlと著しい高値を示し,血清Granulocyte colony stimulating factor(G-CSF)値上昇,組織診で抗G-CSF抗体免疫染色陽性よりG-CSF産生腫瘍と診断した.化学療法を予定したが急激に病勢は進行し,約1カ月後に死亡した.G-CSF産生腫瘍は肺癌での報告が多く,肝内胆管癌での報告は稀である.また,G-CSF産生腫瘍...

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Published inTando Vol. 29; no. 1; pp. 138 - 144
Main Authors 西江, 裕忠, 奥村, 文浩, 安部, 快紀, 佐野, 仁, 井上, 匡央, 水島, 隆史, 西, 祐二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2015
Japan Biliary Association
一般社団法人 日本胆道学会
Subjects
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.29.138

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Summary:症例は76歳,女性.2週間続く心窩部痛を主訴に受診した.造影CTにて肝右葉に辺縁主体に造影される巨大不整形腫瘍を認め,肝内胆管癌と診断した.肝門部から傍大動脈領域には腫大リンパ節が散見され,肺野には小結節が多発し転移を疑った.白血球数は37800 /μlと著しい高値を示し,血清Granulocyte colony stimulating factor(G-CSF)値上昇,組織診で抗G-CSF抗体免疫染色陽性よりG-CSF産生腫瘍と診断した.化学療法を予定したが急激に病勢は進行し,約1カ月後に死亡した.G-CSF産生腫瘍は肺癌での報告が多く,肝内胆管癌での報告は稀である.また,G-CSF産生腫瘍は悪性度が高く,進行が極めて早いものが多い.著明な白血球,炎症反応の上昇を認める悪性腫瘍症例において,感染症や血液疾患などの影響が否定的な場合にはG-CSF産生腫瘍を疑い,迅速に診断し,治療を行う必要がある.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.29.138