胆嚢原発神経内分泌腫瘍(Neuroendocrine tumor:NET G1)の1例

今回我々は,WHO分類でNET G1に相当する極めて稀な胆嚢原発神経内分泌腫瘍の1例を経験したので報告する.症例は47歳男性で,検診の超音波検査にて胆嚢ポリープを指摘され初診となった.超音波検査では胆嚢頸部に11 mm大の表面凹凸を伴う広基性隆起性病変を認め,CT検査で造影効果を認めた.MRCP検査では胆嚢頸部に透亮像を認めたが,胆管に異常はなかった.以上より胆嚢腺腫や早期胆嚢癌を疑い,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.切除標本の肉眼所見では胆嚢頸部に11 mm大の乳頭状隆起性病変を認めた.病理組織学的には,乳頭状に増生した胆嚢固有上皮の間質に,淡明~淡好酸性の広い細胞質と類円形の小型核を有したm...

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Published inTando Vol. 29; no. 4; pp. 769 - 774
Main Authors 森下, 慶一, 小池, 伸定, 鈴木, 衛, 鈴木, 修司, 伴, 慎一, 田淵, 崇文, 原田, 信比古
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2015
Japan Biliary Association
Subjects
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.29.769

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Summary:今回我々は,WHO分類でNET G1に相当する極めて稀な胆嚢原発神経内分泌腫瘍の1例を経験したので報告する.症例は47歳男性で,検診の超音波検査にて胆嚢ポリープを指摘され初診となった.超音波検査では胆嚢頸部に11 mm大の表面凹凸を伴う広基性隆起性病変を認め,CT検査で造影効果を認めた.MRCP検査では胆嚢頸部に透亮像を認めたが,胆管に異常はなかった.以上より胆嚢腺腫や早期胆嚢癌を疑い,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.切除標本の肉眼所見では胆嚢頸部に11 mm大の乳頭状隆起性病変を認めた.病理組織学的には,乳頭状に増生した胆嚢固有上皮の間質に,淡明~淡好酸性の広い細胞質と類円形の小型核を有したmonotonousな腫瘍細胞が大小の島状・胞巣状増殖を呈しており,一部で漿膜下組織まで浸潤していた.免疫染色でクロモグラニンA,シナプトフィジンが陽性であった.腫瘍の組織像および,核分裂像を認めずKi-67陽性率1%であったことから,胆嚢原発のNET G1と診断された.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.29.769