天然ゴムを原料とするプロトン伝導性高分子電解質の創製

プロトン伝導性に優れる高分子電解質を作製するためには,より効率良くプロトンを輸送できるパスを形成するための新規概念の確立が必要である.本研究ではプロトン輸送能を有する高分子電解質において連続なプロトン伝導パスを形成するための検討を行った.脱タンパク質化天然ゴム–ポリスチレングラフト共重合体(DPNR-graft-PS)を調製し,クロロホルムに浸漬後,クロロスルホン酸を用いてスルホン化を行うことによりスルホン化DPNR-graft-PSを調製した.浸漬時間60分および5分で調製したスルホン化DPNR-graft-PSのプロトン伝導率は9.8×10-2および3.1×10-2 S/cmであった.TE...

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Published in高分子論文集 Vol. 69; no. 5; pp. 228 - 234
Main Authors 角, 紀行, 赤堀, 敬一, 山本, 祥正, 河原, 成元
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 高分子学会 2012
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Summary:プロトン伝導性に優れる高分子電解質を作製するためには,より効率良くプロトンを輸送できるパスを形成するための新規概念の確立が必要である.本研究ではプロトン輸送能を有する高分子電解質において連続なプロトン伝導パスを形成するための検討を行った.脱タンパク質化天然ゴム–ポリスチレングラフト共重合体(DPNR-graft-PS)を調製し,クロロホルムに浸漬後,クロロスルホン酸を用いてスルホン化を行うことによりスルホン化DPNR-graft-PSを調製した.浸漬時間60分および5分で調製したスルホン化DPNR-graft-PSのプロトン伝導率は9.8×10-2および3.1×10-2 S/cmであった.TEM観察により浸漬時間60分で調製したスルホン化DPNR-graft-PSではナノマトリックスチャネル構造を形成していることが確認されたが,浸漬時間5分で調製したスルホン化DPNR-graft-PSではナノマトリックスチャネル構造は確認されなかった.このことより,ナノマトリックスチャネル構造を形成することによりスルホン化DPNR-graft-PSのプロトン伝導率は飛躍的に向上することが明らかとなった.
ISSN:0386-2186
1881-5685
DOI:10.1295/koron.69.228