経口胆道鏡(POCS)で特徴的な所見を認めた遠位胆管の「いわゆる癌肉腫」の1例

症例は66歳男性.2型糖尿病でかかりつけ医を定期受診した際に皮膚黄染を指摘され紹介受診となった.腹部CTで乳頭部直上の遠位胆管に造影効果を有する腫瘤像を認め,ERCP施行時に経口胆道鏡検査も同時に行ったところ,CTに一致する部位に絨毛状粘膜から基部でくびれるようにして急峻に立ち上がる腫瘤を認めた.生検で低分化型腺癌を認め遠位胆管癌と診断し,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術+D2郭清を施行した.術後の病理検査で通常の腺癌組織から移行像を伴う紡錘形細胞を認め,「いわゆる癌肉腫」と診断された.肝外胆管の「いわゆる癌肉腫」の症例報告は徐々に増えているが,依然術前診断は困難とされており,また術前に経口胆道鏡...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inTando Vol. 32; no. 5; pp. 918 - 925
Main Authors 河本, 博文, 中村, 純, 末廣, 満彦, 浦上, 淳, 谷川, 朋弘, 物部, 泰昌, 浦田, 矩代, 笹井, 貴子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 31.12.2018
Japan Biliary Association
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.32.918

Cover

More Information
Summary:症例は66歳男性.2型糖尿病でかかりつけ医を定期受診した際に皮膚黄染を指摘され紹介受診となった.腹部CTで乳頭部直上の遠位胆管に造影効果を有する腫瘤像を認め,ERCP施行時に経口胆道鏡検査も同時に行ったところ,CTに一致する部位に絨毛状粘膜から基部でくびれるようにして急峻に立ち上がる腫瘤を認めた.生検で低分化型腺癌を認め遠位胆管癌と診断し,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術+D2郭清を施行した.術後の病理検査で通常の腺癌組織から移行像を伴う紡錘形細胞を認め,「いわゆる癌肉腫」と診断された.肝外胆管の「いわゆる癌肉腫」の症例報告は徐々に増えているが,依然術前診断は困難とされており,また術前に経口胆道鏡検査が施行された症例は稀である.本症例では,「いわゆる癌肉腫」に特徴的と思われる経口胆道鏡所見を認めたため,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.32.918