4-ノニルフェノール異性体のヒメダカ(Oryzias latipes)仔魚に対する急性毒性評価

ノニルフェノール(NP)はアルキルフェノール類の一種であり、生殖・発生毒性など生物への影響が懸念されている。製品NPは多数の異性体の混合物であり、これまで混合物として水生生物への毒性評価がなされてきたため、個別の異性体の毒性については知見が限られている。本研究ではNP異性体の毒性を明らかにするため、直鎖型異性体、18種の分岐型異性体、さらにこれら19異性体の等量混合物を用いてヒメダカ(Oryzias latipes)仔魚に対する急性毒性試験を実施し、各NP異性体の半数致死濃度および異性体間の毒性の差異を明らかにすることを目的とした。OECDテストガイドライン203に準拠して急性毒性試験を行った...

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Published in環境と安全 Vol. 4; no. 1; pp. 1_9 - 1_14
Main Authors 有薗, 幸司, 小林, 淳, 古賀, 実, 孫, 深富, 石橋, 康弘, 吉, 赫哲, 篠原, 亮太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 大学等環境安全協議会 2013
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ISSN1884-4375
2186-3725
DOI10.11162/daikankyo.4.1_9

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Summary:ノニルフェノール(NP)はアルキルフェノール類の一種であり、生殖・発生毒性など生物への影響が懸念されている。製品NPは多数の異性体の混合物であり、これまで混合物として水生生物への毒性評価がなされてきたため、個別の異性体の毒性については知見が限られている。本研究ではNP異性体の毒性を明らかにするため、直鎖型異性体、18種の分岐型異性体、さらにこれら19異性体の等量混合物を用いてヒメダカ(Oryzias latipes)仔魚に対する急性毒性試験を実施し、各NP異性体の半数致死濃度および異性体間の毒性の差異を明らかにすることを目的とした。OECDテストガイドライン203に準拠して急性毒性試験を行った結果、ヒメダカ仔魚の96時間半数致死濃度(96 h-LC50)は、直鎖型異性体では439 μg/L、等量混合物では265 μg/L、分岐型の18異性体では193(NP-O)~450(NP-A)μg/Lの範囲であった。大部分の分岐型異性体(NP-A以外の17異性体)は直鎖型異性体よりも急性毒性が強いという結果が得られた。分岐型異性体の96 h-LC50とそれらの分子構造との関係を検討した結果、NPのノニル基のα炭素のみにアルキル基が結合している異性体の一部で急性毒性が高い傾向があり、既報で観察されているNP異性体の分子構造とエストロゲン活性との関係と異なることが示唆された。
ISSN:1884-4375
2186-3725
DOI:10.11162/daikankyo.4.1_9