成人と小児のアトピー性皮膚炎患者間における皮膚Malassezia叢の解析

【背景】 難治性成人型アトピー性皮膚炎(AD)患者において、抗真菌剤の投与が有効であることより、その増悪因子としてMalasseziaが示唆されている。しかしながら、AD患者において、成人と小児の2群間でMalassezia floraを比較検討された報告はない。【目的】この研究では、AD患者を成人と小児の2群に分け、各群のMalasseziafloraについて非培養法を用いて検出・定量し、比較検討する。【対象】頚部に皮疹を持つ58人のAD患者(男性28人,女性30人; 成人27人,小児31人)を対象とした。【方法】 Scaleは、AD患者の頚部の皮疹より採取し、そのサンプルより直接DNAを抽...

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Published in日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 p. 86
Main Authors 萩谷, ゆみ子, 杉田, 隆, 加藤, 博司, 西川, 朱實, 比留間, 政太郎, 武藤, 正彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医真菌学会 2008
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Summary:【背景】 難治性成人型アトピー性皮膚炎(AD)患者において、抗真菌剤の投与が有効であることより、その増悪因子としてMalasseziaが示唆されている。しかしながら、AD患者において、成人と小児の2群間でMalassezia floraを比較検討された報告はない。【目的】この研究では、AD患者を成人と小児の2群に分け、各群のMalasseziafloraについて非培養法を用いて検出・定量し、比較検討する。【対象】頚部に皮疹を持つ58人のAD患者(男性28人,女性30人; 成人27人,小児31人)を対象とした。【方法】 Scaleは、AD患者の頚部の皮疹より採取し、そのサンプルより直接DNAを抽出した。主要2菌種であるM globosaとM. restrictaについてはreal-time PCRを用いて高精度に定量し、その他7菌種は、nested PCRを用いて検出した。また菌種別抗マラセチアIgE抗体も調べた。【結果】 Malasseziaの量は成人の方が多く(P<0.05)、菌種別にみると、小児ではM. restrictaが優位で、成人ではM globosaとM. restrictaがほぼ同等であり、菌叢が有意に異なっていた(P<0.05)。菌種別抗マラセチア抗体価をみてみると、成人は、小児と比較して、M globosaとM. restrictaの両者対する抗体価が上昇していた。【結論】 AD患者の皮疹部のMalasseziaについて、小児と比較して成人では量そのものだけでなく、優位となる菌種が異なっていた。
Bibliography:P-043(SIII-06)
ISSN:0916-4804
DOI:10.11534/jsmm.52.0.86.0