エピタキシャルグラフェンと電子顕微鏡

エピタキシャルグラフェンは,炭化珪素(SiC)の熱分解によって半絶縁性の基板上に直接に大面積で高品質に形成可能であることから,通信用高周波トランジスターへの応用が期待される.しかしながら,この手法ゆえに,SiC基板表面のフォノンによりグラフェン内のキャリアが散乱されるという問題が重要な課題として残る.本研究では,このグラフェン/SiC界面構造の改質のため,窒化による新奇周期構造を有する原子層界面構造形成,およびグラフェンの負の熱膨張係数を利用した急冷法によるグラフェンの擬似的自立化の手法の開発を行った.本論文では,特に高分解能電子顕微鏡断面観察による界面構造の直接観察を行うことにより,窒化原子...

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Published in顕微鏡 Vol. 53; no. 2; pp. 62 - 66
Main Authors 乗松, 航, 増田, 佳穂, 山本, 悠太, 楠, 美智子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本顕微鏡学会 30.08.2018
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ISSN1349-0958
2434-2386
DOI10.11410/kenbikyo.53.2_62

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Summary:エピタキシャルグラフェンは,炭化珪素(SiC)の熱分解によって半絶縁性の基板上に直接に大面積で高品質に形成可能であることから,通信用高周波トランジスターへの応用が期待される.しかしながら,この手法ゆえに,SiC基板表面のフォノンによりグラフェン内のキャリアが散乱されるという問題が重要な課題として残る.本研究では,このグラフェン/SiC界面構造の改質のため,窒化による新奇周期構造を有する原子層界面構造形成,およびグラフェンの負の熱膨張係数を利用した急冷法によるグラフェンの擬似的自立化の手法の開発を行った.本論文では,特に高分解能電子顕微鏡断面観察による界面構造の直接観察を行うことにより,窒化原子層の界面構造を決定するプロセスを紹介し,グラフェン構造解析における高分解能TEM観察の威力と重要性について述べる.
ISSN:1349-0958
2434-2386
DOI:10.11410/kenbikyo.53.2_62