コナラの137CsおよびKの立木間・立木内分布特性が原木栽培シイタケ子実体への137Cs移行に及ぼす影響
福島第一原発の事故以降,利用可能なシイタケ用原木の選別は課題となっている。より精度の高い原木林評価法を検討するため,原発事故から10年が経過した二つの原木林においてコナラ立木の137Cs(以下Cs)濃度の垂直分布を部位別に調査し,立木から得た原木を用いて栽培したシイタケ子実体へのCsの移行を評価した。子実体のCs濃度は辺材のCs濃度と最も相関が高かった。辺材のK濃度と辺材からの移行係数(子実体と辺材のCs濃度比)に負の相関がみられ,原木シイタケ栽培においても基質中のKが子実体へのCs移行を低減することが示された。共分散分析から辺材Cs濃度は,調査地,立木,高さによって異なるが,同じ立木から得た...
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Published in | 日本森林学会誌 Vol. 106; no. 12; pp. 311 - 318 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本森林学会
28.12.2024
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Subjects | |
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ISSN | 1349-8509 1882-398X |
DOI | 10.4005/jjfs.106.311 |
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Summary: | 福島第一原発の事故以降,利用可能なシイタケ用原木の選別は課題となっている。より精度の高い原木林評価法を検討するため,原発事故から10年が経過した二つの原木林においてコナラ立木の137Cs(以下Cs)濃度の垂直分布を部位別に調査し,立木から得た原木を用いて栽培したシイタケ子実体へのCsの移行を評価した。子実体のCs濃度は辺材のCs濃度と最も相関が高かった。辺材のK濃度と辺材からの移行係数(子実体と辺材のCs濃度比)に負の相関がみられ,原木シイタケ栽培においても基質中のKが子実体へのCs移行を低減することが示された。共分散分析から辺材Cs濃度は,調査地,立木,高さによって異なるが,同じ立木から得た原木で栽培した子実体Cs濃度は,KによるCs吸収の抑制により,原木の採取高によって変動しなかった。また,子実体Cs濃度は各立木の胸高部の辺材Cs濃度と子実体発生量および発生個数を説明変数として精度高く推定できた。このため原木林の評価は,立木当たり1カ所(胸高部)で,より多くの立木について Cs濃度を調査し,補完的にK濃度も測定することでより効率的かつ高精度に原木林の利用可否を判定できると考えられた。 |
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ISSN: | 1349-8509 1882-398X |
DOI: | 10.4005/jjfs.106.311 |