眼底診察が診断に有用であった脂肪塞栓症候群の一例

• Published in: 日本外傷学会雑誌 Vol. 37; no. 3; pp. 342 - 347
• Main Authors: 大石, 大, 津田, 雅庸, 苛原, 隆之, 寺島, 嗣明, 梶田, 裕加, 田邊, すばる, 久下, 祐史, 加藤, 浩介, 石津, 啓介, 渡邉, 栄三
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 一般社団法人 日本外傷学会 20.07.2023
• Subjects: Purtscher網膜症; 外傷; 脂肪塞栓症候群
• ISSN: 1340-6264; 2188-0190
• DOI: 10.11382/jjast.37.3_10

脂肪塞栓症候群は長管骨骨折などに伴い, 低酸素血症, 中枢神経症状, 点状出血を3大徴候とする症候群である. 鶴田らの基準や, Gurd＆Wilson基準など診断基準は存在するが, 特徴的な臨床症状や特異的な検査所見がなく診断に苦慮することがしばしばある. 頭部MRI検査が診断に有用との報告もあるが, 本症例は大腿骨骨折に対して, 鋼線による直達牽引を施行していたため, 頭部MRI検査を安全に実施できないと判断した. 次善の対応として, ベッドサイドでの眼底診察を行った. 網膜に軟性白斑を認め, 脂肪塞栓症によるPurtscher網膜症を併発していた. 網膜所見が脂肪塞栓症候群の診断に有用であったため報告する.