頭頸部手術を契機に判明した後天性血友病Aの1例

後天性血友病Aとは,血液凝固第Ⅷ因子に対する自己抗体が様々な要因により出現し,出血症状を呈する自己免疫性疾患である。われわれは甲状腺腫瘍手術を契機に判明した後天性血友病Aの1例を経験した。症例は65歳,女性。甲状腺腫瘍手術後に腹直筋内血腫を認め,精査の結果,後天性血友病Aと診断された。本疾患は,出血により致命的な経過をたどる可能性もあり,早期診断・早期治療介入が望ましい。耳鼻咽喉科・頭頸部外科医にとってはまだ馴染みが薄い疾患であるが,出血性素因のない患者で,血小板数およびPTが正常で,APTTのみが延長している場合には,本疾患を疑うことが重要である。...

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Published in頭頸部外科 Vol. 32; no. 3; pp. 265 - 270
Main Authors 小池, 毬子, 木田, 渉, 野内, 舞, 伊東, 明子, 稲吉, 康比呂, 岩村, 均, 中屋, 宗雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2023
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Summary:後天性血友病Aとは,血液凝固第Ⅷ因子に対する自己抗体が様々な要因により出現し,出血症状を呈する自己免疫性疾患である。われわれは甲状腺腫瘍手術を契機に判明した後天性血友病Aの1例を経験した。症例は65歳,女性。甲状腺腫瘍手術後に腹直筋内血腫を認め,精査の結果,後天性血友病Aと診断された。本疾患は,出血により致命的な経過をたどる可能性もあり,早期診断・早期治療介入が望ましい。耳鼻咽喉科・頭頸部外科医にとってはまだ馴染みが薄い疾患であるが,出血性素因のない患者で,血小板数およびPTが正常で,APTTのみが延長している場合には,本疾患を疑うことが重要である。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.32.265