肺血栓塞栓症による心肺停止後に脊髄虚血を認めた一例

心肺停止後に頸髄虚血による四肢麻痺を認めた稀な症例を経験したので報告する。症例は62歳男性。当院泌尿器科にて尿膜管腫瘍切除術施行後5日目に病棟内で卒倒し精査したところ肺血栓塞栓症による閉塞性ショックであったことが判明した。その後心肺停止に陥り, 心肺蘇生術を施行。体外補助循環を確立し, 低体温療法を含めた全身管理目的にICU入室となった。体外補助循環を離脱し体温管理を終了したところ患者は頸部から上の運動の指示は入るものの四肢は動かず四肢麻痺の状態であった。この際に撮影したMRIで頸髄C5〜C7に虚血性変化を認めた。以降はリハビリとともに四肢麻痺は改善した。心停止後症候群の中でも心停止が脊髄に及...

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Published in日本救急医学会関東地方会雑誌 Vol. 39; no. 3; pp. 419 - 421
Main Authors 西野, 将司, 須崎, 紳一郎, 原田, 尚重, 原, 俊輔, 蕪木, 友則, 寺岡, 麻梨, 平山, 優, 山本, 浩大郎, 鈴木, 秀鷹, 岸原, 悠貴, 大山, 裕太郎, 河口, 拓哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本救急医学会関東地方会 27.03.2019
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Summary:心肺停止後に頸髄虚血による四肢麻痺を認めた稀な症例を経験したので報告する。症例は62歳男性。当院泌尿器科にて尿膜管腫瘍切除術施行後5日目に病棟内で卒倒し精査したところ肺血栓塞栓症による閉塞性ショックであったことが判明した。その後心肺停止に陥り, 心肺蘇生術を施行。体外補助循環を確立し, 低体温療法を含めた全身管理目的にICU入室となった。体外補助循環を離脱し体温管理を終了したところ患者は頸部から上の運動の指示は入るものの四肢は動かず四肢麻痺の状態であった。この際に撮影したMRIで頸髄C5〜C7に虚血性変化を認めた。以降はリハビリとともに四肢麻痺は改善した。心停止後症候群の中でも心停止が脊髄に及ぼす影響は明らかになっておらず, 医療水準の向上に伴い社会復帰出来る症例も増えてきているため四肢麻痺の原因の一つとなりうる脊髄虚血を病態究明のための症例集積が待たれる。
ISSN:0287-301X
2434-2580
DOI:10.24697/jaamkanto.39.3_419