経カテーテル動脈塞栓術後に尿溢流による膿瘍を合併した鈍的馬蹄腎損傷の1例

61歳の女性. 交通事故で近医に搬送され, 腎損傷の診断にて2時間後に当院へ転院となった. 馬蹄腎峡部右側の断裂とそれによる出血性ショックに対して, transcatheter arterial embolization (TAE) で止血し得た. 経過中に生じたurinomaと損傷部周囲の膿瘍に対し経皮的ドレナージ術を施行し, 峡部断裂部の尿溢流に対し尿管カテーテルを留置した. しかし尿溢流が持続するため, 第41病日に腎部分機能廃絶目的でTAEを施行した. のちに腎瘻を造設し, 第151病日に退院した. 馬蹄腎は, 解剖学的異常による尿溢流や感染を合併しやすい. 本症例のような腎周囲膿瘍を...

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Published in日本外傷学会雑誌 Vol. 36; no. 4; pp. 343 - 348
Main Authors 白井, 邦博, 宮脇, 淳志, 野間, 光貴, 滿保, 直美, 平田, 淳一, 小林, 智行, 小濱, 圭祐
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外傷学会 20.10.2022
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ISSN1340-6264
2188-0190
DOI10.11382/jjast.36.4_01

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Summary:61歳の女性. 交通事故で近医に搬送され, 腎損傷の診断にて2時間後に当院へ転院となった. 馬蹄腎峡部右側の断裂とそれによる出血性ショックに対して, transcatheter arterial embolization (TAE) で止血し得た. 経過中に生じたurinomaと損傷部周囲の膿瘍に対し経皮的ドレナージ術を施行し, 峡部断裂部の尿溢流に対し尿管カテーテルを留置した. しかし尿溢流が持続するため, 第41病日に腎部分機能廃絶目的でTAEを施行した. のちに腎瘻を造設し, 第151病日に退院した. 馬蹄腎は, 解剖学的異常による尿溢流や感染を合併しやすい. 本症例のような腎周囲膿瘍を伴う難治性尿溢流に対して, interventional radiologyは, 低侵襲で腎を温存できる有効な治療と考えられた.
ISSN:1340-6264
2188-0190
DOI:10.11382/jjast.36.4_01