めまいで救急外来を受診した真珠腫性中耳炎が進展し髄膜炎をきたした1例

真珠腫性中耳炎は骨破壊を伴いながら中耳外に進展し, 内耳まで波及した場合はめまいや感音難聴をきたすことが知られている。症例は脳梗塞・糖尿病・高血圧の既往がある65歳男性。来院15日前に末梢性めまい症の精査, 加療目的で入院, 真珠腫性中耳炎が診断されていた。退院後に待機的に手術を行う方針で当院耳鼻咽喉科外来に受診していたが, 退院翌日から間欠的に悪寒戦慄が出現したため, 退院10日後に当院救急外来 (ER) を受診した。受診時体温39.6℃, 呼吸数28回, 齲歯・右外耳道炎・右中耳炎を認めた。齲歯や中耳炎に伴う頭頸部膿瘍形成を考え, 頭頸部造影CTを撮像したところ, 頭蓋内に空気迷入を認めた...

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Published in日本救急医学会関東地方会雑誌 Vol. 41; no. 4; pp. 486 - 488
Main Authors 溝辺, 倫子, 高橋, 仁, 福山, 唯太, 山形, 梨里子, 沼田, 賢治, 井上, 哲也, ヤマカワ, 詩央, 舩越, 拓, 本間, 洋輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本救急医学会関東地方会 28.12.2020
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ISSN0287-301X
2434-2580
DOI10.24697/jaamkanto.41.4_486

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Summary:真珠腫性中耳炎は骨破壊を伴いながら中耳外に進展し, 内耳まで波及した場合はめまいや感音難聴をきたすことが知られている。症例は脳梗塞・糖尿病・高血圧の既往がある65歳男性。来院15日前に末梢性めまい症の精査, 加療目的で入院, 真珠腫性中耳炎が診断されていた。退院後に待機的に手術を行う方針で当院耳鼻咽喉科外来に受診していたが, 退院翌日から間欠的に悪寒戦慄が出現したため, 退院10日後に当院救急外来 (ER) を受診した。受診時体温39.6℃, 呼吸数28回, 齲歯・右外耳道炎・右中耳炎を認めた。齲歯や中耳炎に伴う頭頸部膿瘍形成を考え, 頭頸部造影CTを撮像したところ, 頭蓋内に空気迷入を認めた。右感染性真珠腫性中耳炎・気脳症の診断で, 手術目的に他院へ紹介搬送し, 他院にて待機的に鼓室形成術を施行し良好な経過を得た。末梢性めまいでERを受診する患者の中には真珠腫性中耳炎の症例があり重症化することがある。
ISSN:0287-301X
2434-2580
DOI:10.24697/jaamkanto.41.4_486