人工内耳装用児における話者の声の弁別能力に関する検討
要旨: 本研究は, 人工内耳 (CI) 装用児における話者の声の弁別能力を明らかにし, 弁別能力に関係する要因について検討する。CI 装用児17名, 聴児20名に対し, 声の高さに関与する基本周波数 (F0) と声質に関与するフォルマント周波数を操作した声の弁別課題を作成し, それぞれ弁別閾を測定した。その結果, CI 装用児の F0 弁別閾は1.00semitone(st), フォルマント周波数弁別閾は1.44st, 両者を組み合わせた場合 (F0+フォルマント周波数) は条件下限0.50st まで弁別可能であった。また CI 装用開始年齢とフォルマント周波数弁別閾, CI 装用下語音明瞭度...
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Published in | AUDIOLOGY JAPAN Vol. 67; no. 6; pp. 558 - 566 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本聴覚医学会
28.12.2024
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Summary: | 要旨: 本研究は, 人工内耳 (CI) 装用児における話者の声の弁別能力を明らかにし, 弁別能力に関係する要因について検討する。CI 装用児17名, 聴児20名に対し, 声の高さに関与する基本周波数 (F0) と声質に関与するフォルマント周波数を操作した声の弁別課題を作成し, それぞれ弁別閾を測定した。その結果, CI 装用児の F0 弁別閾は1.00semitone(st), フォルマント周波数弁別閾は1.44st, 両者を組み合わせた場合 (F0+フォルマント周波数) は条件下限0.50st まで弁別可能であった。また CI 装用開始年齢とフォルマント周波数弁別閾, CI 装用下語音明瞭度とF0, フォルマント周波数弁別閾に有意な相関関係を認めた。これまで CI 装用児は声の弁別は難しいとされてきたが, 実際にはわずかな声の違いを聞き取ることが可能であり, 特に声質は CI 装用開始年齢が低いと弁別しやすい傾向がみられた。CI装用下の語音明瞭度が低い場合,声の高さや声質を弁別しにくい傾向がみられた。 |
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ISSN: | 0303-8106 1883-7301 |
DOI: | 10.4295/audiology.67.558 |